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三回目のループ

「……忍。……忍。 ……忍 」

下で母さんの呼ぶ声がする。

朝か……

しかし、嫌な夢だった。

俺はふと枕を見た。

枕にどっさり髪の毛が抜けていた。

俺は髪の毛をつかむ。

すると、髪の毛は灰を散らすように消えた。

夢じゃなかった。


とうとう3回目か……

トラック事故、鉄骨、欄干の崩壊。

こんなに立て続けに起こるなんて、

ありえない。

なにか問題が隠されているかもしれない。


俺はスマホで頭を確認する。

額が悲しく広がっている。

前に撮った写真と今の写真を見比べる。

だいたい3㎝ほど後退していた。


3㎝ ゴリラのあそこと同じくらいか……。

ダメだ。ダメだ。意識をしっかり持たなきゃ。


俺はこのボーナスを、

彼女を救うために、

全力で賭ける。


とは言ったものの。

ボーナス分として、俺に与えられたのは3㎝。

ここからは、普通の一般人の額だ。

ガチ額を賭けたバトルだ。

弥生姫を救えるのは、俺だけなんだ。


俺はスマホで日にちを確認した。

やはり事故の起こる2日前だった。


俺は学生服に着替え、下に降りる。

どこかの町のマラソン大会に鹿と猪が乱入して、中止になった件を報道していた。

4回目聞くと、完全にどうでもいい。


今日はテレビを消してやろう。

と俺はテレビを消した。


「どうした、テレビを消すなんて珍しい」

と父さんは言った。


「たまには、父さんや母さんと会話でもしながら、朝ごはんが食べたいなと思って」

と俺は言った。


「なんだ。可愛い事言うじゃないか」

と父さんはニヤニヤしながら言った。


「父さんと、母さんのなれそめを聞きたいなと思ってさ」

と俺は言った。


「いや~照れるな」

と父さんはニヤニヤしながら言った。


「余計なこと言わないで下さいよ」

と母さんもニヤニヤしながら言った。


(ぴろんぴろんぴろん)

父さんのスマホが鳴る。

「はい。はい。わかりました。すぐ出ます」

と父さんは、会社からの呼び出しで急いで出ていった。


結局父さんから、なれそめ話は聞けなかった。


「父さんは、私を命がけで守ってくれたのよ。

だから好きになった。

ハゲてるけど、カッコいい人なの。

私にとってはね」

と母さんは、俺の肩に手を置いて、耳元で言った。


俺は、納豆にマヨネーズを入れかき混ぜる。

これを焼き立てのトーストの上に乗っけて食べる。

トーストの上にポテトサラダを乗っけたような味になる。

今日は、この上にあおさをふりかける。

どうでもいいけど、あおさって賞味期限以内に食べれるものなの?


歯磨きをし、顔を洗い、髪形をセットする。

髪の毛の抜けたところは、剃ったとか、そういうのでなく。

以前から、そこに毛穴はありませんでした。

と言わんばかりにやはりつるつるだった。


残念ながら、生えてくる様子はない。

しかし猫額が3㎝後退すると、完全に普通のおでこだな。


俺は学校に向かう。

学校は歩いて20分の距離にある。

いつもの景色、いつもの日常。

すべてが知っている通りに動いている。


学校についた。

この後弥生ちゃんタイムだ。


下駄箱を過ぎると、声が聞こえた。

「高元君。おはよう」

そこには、元気そうな弥生ちゃんの姿があった。


俺はやはり、泣きそうになる。

「えっえぇ~。どうしたの高元君」

心配そうに弥生ちゃんが覗き込む。


やばい。

平常心。平常心。

「ごめん。ちょっと悲しい小説読んでいたから、弥生ちゃんの元気な姿がまぶしすぎて、感動したんだよ」

と俺は言った。ここで小説フラグはつけておかないと。


「あぁ、わかるよ。小説とか読むとしばらく引きずるもんね」

と弥生ちゃんは言った。


よかった。小説フラグは立った。

弥生ちゃんの姿を見ていると、

この子が明日亡くなるなんて信じれない。

俺が絶対に守る。でも守れるのか。自信がない。


でも弥生ちゃんを救えるのは、唯一俺一人なんだ。

そう考えると、またすこしうれしくなってきた。


その様子を見てか、

「高元君、少し元気になったね」

と弥生ちゃんが言った。


「弥生ちゃんのお陰だよ。すごく元気もらった。ありがとう」

と俺は言った。


弥生ちゃんは、その言葉が意外だったのか、少し驚いた顔をしてけど、

すっと笑顔に戻り、俺の目の前をくるりと回り

「そいつはよかった」

と楽し気に言った。


弥生ちゃんのシャンプーの良い匂いがした。


この時間が永遠に続けばいいのに。

俺はそう願った。


「そういえば、今日一時限目、化学の小テストあるよ」

と弥生ちゃんは言った。


「ありがとう。弥生ちゃん」

と俺は言った。

だいじょうぶ。完全に記憶している。


化学の担当の先生が来て、小テストが始まる。

もちろん、この前受けたテストと同じ内容だ。

さすが、三度受けたテストだけあって、今回はさらに点数が良さそうだ。


俺は、ふと同級生の女の子に話しかける。

特に意図はなかったが、話は弥生ちゃんの事になった。


「なんかよくわからないけど、弥生ちゃんも悩みあるみたいよ。

異世界転職相談所を調べようとしてたもん」

彼女は言った。

異世界転職相談所とは、都市伝説で、そこを訪れると、異世界転生が可能になるという相談所のことだ。

たしかSCも異世界転職相談所の話を書いていたっけ。

弥生ちゃんが来た。

「ねぇ異世界転職相談所ってどうなったの。見つかった」

と彼女は尋ねた。

「なにそれ?私そんなもの知らないよ」

と弥生ちゃんは言った。


俺はSCの異世界転職相談所を読み直す。

記憶が消されている。

もしかして、弥生ちゃんも……。

そんなまさか。

あれはただの都市伝説。

そしてあれはただのフィクションだろう。

もしかして、これは本当の話なのか?

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