表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/12

二回目のループ

「……忍。……忍。 ……忍 」

下で母さんの呼ぶ声がする。

朝か……

しかし、嫌な夢だった。

俺はふと枕を見た。

枕にどっさり髪の毛が抜けていた。

俺は髪の毛をつかむ。

すると、髪の毛は灰を散らすように消えた。

夢じゃなかった。


あっ2回目か……

しかし、今回は髪喰いさまが登場しなかったな。

大人の事情?

いやいや小説じゃあるまいし、

そうか

”あと目的を達成したら、ワシの事。つまり髪喰いの記憶も消える”

って言ってたな。

つまりあれは、1回1回確認を取るのじゃなくって、目的を達成するまで自動的にという意味なのか。


俺はスマホで頭を確認する。

額が少し広がっている。

前に撮った写真と今の写真を見比べる。

だいたい2㎝ほど後退していた。


俺はこのボーナスを、

彼女を救うために、

全力で賭ける。


とは言ったものの。

現実に2㎝額が後退していると、

やめておいたらよかったかな。

と少し思う……。

いや思わない。

弥生姫を救えるのは、俺だけなんだ。


俺はスマホで日にちを確認した。

やはり事故の起こる2日前だった。


俺は学生服に着替え、下に降りる。

どこかの町のマラソン大会に鹿と猪が乱入して、中止になった件を報道していた。

3回目聞くのは、なんか受ける。


今日は俺が先に言ってやろう。


「猪鹿蝶(町)。まるで花札みたいだね」

と俺は言った。


母さんと、父さんは大爆笑。

その直後コメンテイターの、

「猪鹿蝶(町)。まるで花札みたいですね」

と発言が聞こえて、再び二人は大爆笑した。


「忍。

今日はやけに冴えてるじゃないか。

めちゃくちゃオモシロかったから、これ500円やろう」

と父さんは500円をくれた。

こんな展開があったのか。


そして炎上の話はなかった。

ここから考えるに、未来は行動次第でやはり変えれるんだ。

実際、弥生ちゃんは亡くなったが、トラック事故は防げた。


俺は、納豆にマヨネーズを入れかき混ぜる。

これを焼き立てのトーストの上に乗っけて食べる。

トーストの上にポテトサラダを乗っけたような味になる。


歯磨きをし、顔を洗い、髪形をセットする。

髪の毛の抜けたところは、剃ったとか、そういうのでなく。

以前から、そこに毛穴はありませんでした。

と言わんばかりにやはりつるつるだった。


残念ながら、生えてくる様子はない。

しかし猫額が2㎝後退すると、普通のおでこだな。


ハゲというのは、生活習慣が原因だと聞く。

しかし俺は一つの事実を知っている。

ハゲルというのは、髪喰いさまに髪を喰われるということだ。

この事実を知ったら、ハゲ=生活習慣が悪い人ではなく、

なにかを守ろうとしている人たち。

つまり勇者なのだろう。

俺はそう思った。

父さんも爺ちゃんも、あのおじさんも、きっと勇者なのだろう。


俺は学校に向かう。

学校は歩いて20分の距離にある。

いつもの景色、いつもの日常。

すべてが知っている通りに動いている。


今日は父さんの仕事について考えていた。

父さんの仕事は、道路パトロールの仕事だ。

道路で黄色いパトロールカーが走っているの見たことないかな。

あれは、道路巡回、道路巡視、交通管理隊とか、いろんな名前があるんだけど、

道路法に基づいて道路管理者が道路を巡回し、道路の損傷や変状、落下物などを発見し、応急対策などをすることで道路交通の安全を確保するための車。

つまり、あの仕事を父さんはやっている。


父さんはよく言ってた。

「父さんの仕事は人間の身体でいうと、白血球のような仕事。地味だけど、この仕事がないと大変なことが起きるんだ」

と、前はへぇ~くらいだったけど、

今俺も白血球が大切な体を守るように、大切な弥生ちゃんを守ろうとしている。

だから、今ようやく父さんの言ってた言葉の意味がわかる気がする。


学校についた。

この後弥生ちゃんタイムだ。


下駄箱を過ぎると、声が聞こえた。

「高元君。おはよう」

そこには、元気そうな弥生ちゃんの姿があった。


俺はやはり、泣きそうになる。

「えっえぇ~。どうしたの高元君」

心配そうに弥生ちゃんが覗き込む。


やばい。

平常心。平常心。

「ごめん。ちょっと悲しい小説読んでいたから、弥生ちゃんの元気な姿がまぶしすぎて、感動したんだよ」

と俺は言った。ここで小説フラグはつけておかないと。


「あぁ、わかるよ。小説とか読むとしばらく引きずるもんね」

と弥生ちゃんは言った。


よかった。小説フラグは立った。

弥生ちゃんの姿を見ていると、

この子が明日亡くなるなんて信じれない。

俺が絶対に守る。


弥生ちゃんを救えるのは、唯一俺一人なんだ。

そう考えると、またすこしうれしくなってきた。


その様子を見てか、

「高元君、少し元気になったね」

と弥生ちゃんが言った。


「弥生ちゃんのお陰だよ。すごく元気もらった。ありがとう」

と俺は言った。


弥生ちゃんは、その言葉が意外だったのか、少し驚いた顔をしてけど、

すっと笑顔に戻り、俺の目の前をくるりと回り

「そいつはよかった」

と楽し気に言った。


弥生ちゃんのシャンプーの良い匂いがした。


この時間が永遠に続けばいいのに。

俺はそう願った。


「そういえば、今日一時限目、化学の小テストあるよ」

と弥生ちゃんは言った。


「ありがとう。弥生ちゃん」

と俺は言った。

だいじょうぶ。完全に記憶している。


化学の担当の先生が来て、小テストが始まる。

もちろん、この前受けたテストと同じ内容だ。

さすが、二度受けたテストだけあって、今回はさらに点数が良さそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ