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鉄骨が落ちてきて

俺は授業を受けながら、弥生ちゃんを救う手をずっと考えていた。

基本的に、あのトラックにひかれなかったら、弥生ちゃんが亡くなることはない。

という事は、

違う道を通ってもらうか。

引き留めて、時間をずらすか。

そういう方法がベストだろう。

では、どうすれば、それが可能か?


多分一番いいのが、帰宅時間に見計らって声をかける事だろう。

でも、どう声をかける。

偶然出会った感じにして、声をかけようか。

それで、俺、今から本屋行くんだけど、どこ行くの?

と聞こうか。

それとも、俺、今から本屋行くんだけど、 方角一緒なら途中まで一緒にどう?

と言おうか。


どっちだろ。

どこ行くの?が答えにくいところだったら、気まずいよな。

それはマズい。

方角一緒なら、途中まで一緒にどう?

これいるのかな。


それより、

あっ弥生ちゃん。こっちなんだ。

俺は家は向こうだけど、今日は街の本屋によってから帰えるんだ。

にしようかな。


あっこっちのほうが良さそうだな。


……


当日、俺は校門の辺りに隠れて、弥生ちゃんが通りすぎるの待つ。

弥生ちゃんが来た。

友達と一緒だ。

俺は30mほど離れ尾行する。

300mほど進み、弥生ちゃんは友達と別れた。

このルートは、あの本屋へ向かうコースだ。

あぁ緊張するな。

ただ帰り道にたまたま会うだけという設定なのに、

なんでこんなに緊張するんだ。


だいじょうぶだ。俺。

昨晩30回も予行練習したじゃないか。


あっ弥生ちゃん。こっちなんだ。

俺は家は向こうだけど、今日は街の本屋によってから帰えるんだ。


これだ。よし行こう。


弥生ちゃんと目が合う。

「あっ高元君。こっちなんだ」

と弥生ちゃんは言った。


しまった。完全に主導権を取られてしまったぁ。

平然を装わねば。


「そう。今日はね。街の本屋に行こうかなって思って。あっうちは向こうね」

と俺は言った。

これはセーフか。

セーフなのか。


「そうなんだ。私もそっち方面だから、途中まで一緒に帰ろ」

と弥生ちゃんは言った。


なにここに天使、いや女神様がいるのですがぁ。


「うん。そうしよう」

と俺は言った。

あれ。よく考えたら、ここから話す内容考えてなくね?

いや。ヤバいっしょ。まったく考えてないよぉ。

弥生ちゃんって何が好きなの?

弥生ちゃんて趣味は?

って聞く。それお見合いだよ。多分。


「昨日の朝も小説読んでって言ってたけど、本が好きなの?」

と弥生ちゃんは言った。


「俺小説が好きなんだ。 特にラノベとか」

と俺は言った。

ナイス助け舟。


「ラノベ。私も好きだよ。小説投稿サイトとかよく見るし」

と弥生ちゃんは言った。


「俺も小説投稿サイトはよく見る」

と俺は言った。

キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!

趣味が同じなんて、なんて幸せなんだ。

ちなみに本屋の方向も北。


「俺はちょっと変わった作品ばかり書く人なんだけど、SCと言う小説家が好きなんだ」

と俺は言った。


「SCって、あの汚部屋転生とか、お笑い芸人の転生とか、老兵300人で1万の軍隊相手に戦うとか、無茶な設定が好きな作家さん?」

と弥生ちゃんは言った。


「そうそう。無茶な設定で、転生チートとか絶対にしてくれない塩対応の神様がよく出る作家さん」

と俺は言った。


「あの人の作品、ほんとオカシイよね。なんか常に予想を裏切るというか、予想を裏切るのが当たり前的な」

と弥生ちゃんは言った。


これは読んでるタイプだな。

「結構読んでるの?」

と俺は言った。


「投稿サイトに出てるのは全部読んだ」

と弥生ちゃんは言った。

かなりのファンっぽいな。

でも投稿サイトと限定したということは、紙版とかは読んでなさそうだな。

聞いてみよう。


「俺、紙版もコンプリートしてるよ。まだだったら今度貸そうか?」

と俺は言った。


「めっちゃウレシイ。絶対だよ」

と弥生ちゃんは言った。


思わぬところで接点ができた。

ありがとうSC先生。


「今日新刊が出るんだ」

と俺は言った。


「いいな」

と弥生ちゃんは羨ましそうに言った。


「見終わったら貸すよ」

と俺は快諾した。


「約束だよ」

と弥生ちゃんは笑顔で言った。


あぁなにこの可愛い生物。

しかも本の貸し借りとか。


これあれだな。

まとめてどんと貸したら、ダメな奴だな。

1冊づつ貸して、

それについて会話して楽しんで、

仲良くなる。

これだ。

間違いない。

これに違いない。


あっ、ダメだ。もうそろそろあのトラックの場所だ。

どうしようと。

と思っていると、


「じゃあ。私こっちだから」

と弥生ちゃんが別の道に進む。


俺は手を振って弥生ちゃんと別れる。


ルートを変えてくれた。

これで問題が回避できた。

あとは、弥生ちゃんとの関係をよくしていくだけだな。


お互いに同じ小説が好きなことが分かった事だし、

休み時間とか話とかできるかも。

もしかしたら、付き合ったりとかできたりして。

そう考えると、テンションが上がってくる。


……


(きーん。ガシャーン。ドーン。キャー)


どこかで、とんでもない音がした。

えっなに?俺は前方を見る。いやトラックではない。

事故を起こすはずのトラックは俺の横を通りすぎていった。

どっちだ。

後ろを振り向くと、人が集っている。

弥生ちゃんと別れたあの道だ。


まさか。全身から血の気が引く。


俺は慌てて、別れた道路に向かう。

そこには、マスコットのついた弥生ちゃんのカバンと、真っ赤な血の海があった。


工事現場から、怒声が聞こえる。

「なんてことをしてくれたんだ」

工事現場の監督らしき男が怒鳴っている。


オペレーターらしき男が呆然と立ち尽くしている。


「すみません。手足が急に痺れて動かなくなって」

とオペレーターらしき男は言った。


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