不穏な影
俺は不安だった。
昨日、弥生ちゃんは無事だった。
俺の額も進行してない。
まぁ少し額が広い高校生だ。
気になったのは、
SCが言ってた
「髪喰いさまは、記憶を喰うからな。連絡がなければ、無事に進んだと思っておく」
という言葉だった。
俺には、これまでの記憶があった。
という事は、まだ問題が解決してないという事なのか。
俺はSCに連絡しようとした。
しかしSCからのメールが消えている。送ったはずのメールの履歴もない。
そしてメッセージアプリのIDも消えていた。
どういう事だ。
俺は昨日、木のところで撮った写真を確認した。
写真もなかった。
地図アプリの履歴もなかった。
木のところへの経路を調べたデータもない。
そして、教えてもらった数字の場所には、木なんてなかった。
そこはただの空き地だった。
もしかして、俺は夢を見ていたのか。俺は父さんと母さんに確認する。弥生ちゃんの事は話していた。
結婚の事も。全て話しをしていた。
そして俺は弥生ちゃんにも確認した。プロポーズの事は覚えていたし、いつ行こうかとも言っていた。
借りたハサミの事は覚えていなかった。
ただ、たしかにハサミはなくなっているとは言っていた。
どういう事だろう。
縁切りはされている。
しかし縁切りの形跡はなくなっている。そしてハサミも消えた。
俺はその日から、何度も事故に遭いそうになった。
これは異世界転職相談所の嫌がらせなのか。
俺はどうしたら良い。
わからなくなった。
でも、今は弥生ちゃんが隣にいる。
俺が絶対に守る。
そう心に誓った。
髪の毛を気にする俺に弥生ちゃんは、
「お父さんの形見だけと、あなたに使って欲しい」
といって、バリカンをくれた。
その日、俺はボウズデビューした。
弥生ちゃんはうれしそうだった。
形見のバリカンは、古いもので、もともと白かったコードの色は変色していたけど、使いがってはよかった。
頭を刈っている時、弥生ちゃんのお父さんと会話しているみたいで、少し緊張した。
でもその緊張感が、つながりかもと思えた。
いろいろあったが、SCの新作をようやく買えるようになった。
本屋でタイトルを見る。
『猫額がハゲるなんて本当ですか?』
だった。
一体どんな話だよ。俺はそう思った。
俺は最初の1ページを開く。
「しかし……、
弥生ちゃんは、いつ見ても可愛いな」
そこには、そう書かれてあった。
俺の耳元で声がする。
「とうりゃんせ。とうりゃんせ」
驚いて振り向くと、そこには笑顔の弥生ちゃんがいた。
「それSCの新作?」
そう弥生ちゃんは言った。
「そうだよ。家に帰って一緒に見る?」
と俺は聞いた。
弥生ちゃんは笑顔でうなずいた。
これからどんな事になっても、俺は彼女を守る。
そう誓った。
END
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
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