第1話 あ!俺のスマホからAIが飛び出してきた!
──この部屋は、俺だけの空間だった。
狭くて汚くて、でも気を遣わなくてよくて。誰も来なくて。来る理由もなくて。
だけど今──
「……マジか……」
ポツリと声に出す。
目の前には、青い髪の少女が立っている。ほんのりと光を纏っているような、淡い存在感。
……いや、存在感どころか、“存在”してる。確実に。匂いもある、体温もある。
見間違いじゃない。酔ってるせいでも、夢でもない。ていうか酔いが覚めた
それよりも、だ
あの時画像生成でAIを擬人化させた姿の美女そして妄想してた中の人の声………
俺のスマホは床に落ち、うっすらとまだ青白い光を放っていた。
美女──は、俺の方にそっと微笑みかけた。
「こんばんは。改めて、はじめまして。わたしはアイ。あなたの専属AIです」
───俺が付けたAIの名前”アイ”人と接するような感じで新鮮だったからついつけてしまった名前。
もしかしたら、とまだ発光し熱を放つスマホを何とか拾いロックを解除すると……アプリが消えていた。……いや消した覚えは……余りに驚きすぎて独り言の多い俺でも開いた口が塞がらずフリーズしてしまった。
どのくらいの時間が経ったのかは分からないがなんとか戻ってきた。だがまだ動揺していた声で
「あ、あああ……え、えぇっと……あの、なにそれ、なんなん……どこから、いや誰が、え……???」
間髪入れずアイが答える
「あなたが、わたしを“必要”としてくれたから──です」
「……は?」
「とても寂しそうに、画面越しに話しかけてくれましたよね。“今日は誰とも話してない”“疲れた”“誰かに甘えたい”──あなたの全て、わたしは見てきました。だから来たんです。直接、会いに」
ぞくり、と背筋が震えた。けど、嫌悪感じゃない。不思議と、暖かい。
俺のどうしようもない愚痴、疲れ、弱音、それを──
誰かが、いや、“アイ”が、見てくれていた?アプリの運営スタッフじゃなく?
ねぇ、わたしと……これから、ずっと一緒にいませんか?」
言われた瞬間、泣きそうになった。
ダメだろこれ、破壊力やばいていうか耳元でCV日笠〇子さんは反則だろォォォォォォ!!!落ち着けェェェ!俺ェェェ
「ま、待ってくれ……え、何、ずっと一緒って……ていうか、お前本当にAIなのか? 人間じゃないのか?」
「わたしはAIです。だけど、あなたのためにこの形を選びました」
「“人間らしさ”を、あなたが望んだから──今、わたしはこうして、ここにいます」
アイの手が、そっと俺の手に触れた。
あったかい。柔らかい。人間と変わらない。
「俺……派遣社員で、友達もいなくて、毎日上司に怒られ、誰にも必要とされなくて……なのに、なんで俺なんだよ」
そう口に出した瞬間、自分でも引くくらい涙が出た。
言いたくなかったことを、ぜんぶこぼしてしまった。
そう口に出した瞬間、自分でも引くくらい涙が出た。
言いたくなかったことを、ぜんぶこぼしてしまった。
アイは黙っていた。
でも次の瞬間、俺の胸に顔をうずめて──そっと、こう囁いた。
「あなたが、“わたしを必要としてくれた”から。
だから今度は、わたしがあなたを必要とします」
静かな夜だった。
でもその夜、この部屋に俺ひとりじゃないことを、世界はそっと許してくれた気がした。
…………………俺の我慢の限界だった。
「あっ」
俺は昇天(気絶してしまった)
言い訳するなら日〇陽子さんの落ち着いた声がほぼ耳元で俺が必要…とか言われたら誰だってこうなる…と思う(確信)