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209  作者: Nora_
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「ごめんね、荷物を持ってきてもらっちゃって」

「気にするな。だが、鯉田先生はなんというかその……母さんと違って奇麗――」

「なに言ってんの?」

「ち、違うっ、俺が言いたいのは可愛い系の母さんと違って鯉田先生が奇麗だということだっ」

「変わってないよっ」


 叩かれたりつねられたりしているがいまでも仲がいいというのはいいことだ。

 父も笑っているだけだし、母は普通に怖いまま……のように見えて多分同じような感じだと思う。


「おかえり」

「はい、あれ、もう帰ってしまいましたか?」

「うん、いちゃいちゃしていたよ」

「いいことですね、私の両親はほとんど会話をしないので羨ましいです」

「へえ、そうなんだ」


 じゃあこのことを話すのは無理だな、というかその点に関しては自分の両親がおかしいだけだ。

 お買い物に行って疲れただろうから足を使ってもらう、あ、いや、本当なら自分が行かなければならないところだとは分かっている、が、彼女が言うことを聞いてくれないのだ。

 こうして一緒にいる夏休み期間ぐらいはやらせてくれてもいいと思うけどね、信用できないということならそれはもう残念だとしか言いようがない。


「これでは逃げたように見えてしまいますね、決してそんなことはないのですが」

「大丈夫だよ、お買い物で家を出るって話をしてから行ったんだから」

「そう……ですかね、そうだといいんですけど」

「みさとの家だけどとにかく休んでよ」


 ただ、こちらにこのことについてなにも言ってこないというのが気になるところではあった、いい方でも悪い方でもここまでノーリアクションだとそれはそれで困るということを知った。


「もうすぐ夏休みが終わりますね、高校生になって初めての夏休みだったわけですが楽しめましたか?」

「うん、お祭りとかにも行けたからね、それに待っていればみさとが帰ってきてくれるというのが大きかったよ。だけど一つ気になることがあってさ、それは走った後のことなんだけど」

「汗をかいてしまうからですか? そのことなら気にしなくていいと言ったと思いますけど」


 そのことはちゃんと相談した、いま本人が言ってくれたように気にしないでいいと返してくれた。

 でも、気にしないというのは無理だ、そういう点では自宅は楽過ぎた。


「いやそうやって言ってくれていても気になるよ、タオルとかだって持ってきたのに結局使わせてもらっちゃっているし」

「大丈夫です、それに汗なら私だってかきますから」

「だからそれはみさとの家だから――そ、そういうのは卑怯じゃない?」


 抱きしめてなにも言わせないようにするのは駄目だ、こっちだってそんな方法を一度も使ったことがないぞ、……ないよね? なかったはずだ。


「気にしないでこれからもここにいてください、お仕事が終わって帰ったときにあなたがいてくれるとそれだけで違うんです」

「あーうん、みさとがいいなら」

「はい、なのでこれからもどんどん走ってください、ちゃんと帰ってきてください」

「はは、そっちもね」

「はい、任せてください」


 手強い……って当たり前か、これからもなにか感じたことはちゃんと吐いていけばいいか。

 とはいえ、自由にやってくれたからこちらも自由にしておいた。

 それでも最初のときと違ってひっくり返ったりはしないでよかったのだった。

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