瀬戸内海の無人島が津波によって沈みあらゆる生命体は死に絶えたはずだった・・・だが鬼たちは生きていた!
津波によって島が次々と飲み込まれて行くのを見届けた彩聖たち3人は津波が鎮まるのを待っていた。
「まだか?待っとる時間が暇だ。」
任務に邪魔だからスマホは名原のおっさんの家に置いてきたから暇だ。彩聖たち現代っ子はスマホがないと暇の潰し方が分からなくて困るのだ。
「もうそろそろね・・・津波が鎮まって30分ぐらい経てば海も穏やかになると思うわ。」
「この津波なら鬼の大将も死んでるよね?よね?」
「さぁ・・・どうかしら?津波の被害が大きいのは手前の島だし。奥の島の方は津波の勢いも弱まるから被害は減るでしょうね。」
こんな津波で全滅するぐらいなら鬼退治は誰かがやっている・・・誰もやっていないという事はそんな簡単なことではないということだ。
「よし、そろそろ出るわよ。」
船にある時計を見て小型船を操縦する優奈。まずは近くの島を片っ端から見ていく。
まず最初の島・・・上陸した時点で鬼の死体が大量にあった。
「うわぁ・・・」
凜は鬼の水死体から目を背ける。なぜなら物凄くグロいからだ。
「そういや水死体って土左衛門って言うよな?アレなんでだろうな?」
「江戸時代に実在した力士が由来らしいわね。」
凜は目を背けるが彩聖と優奈は水死体となった鬼の身体に触って持ち物とかを見ている。
「コイツら何も持ってねぇな。武器も持っている奴と持ってない奴がいるし。」
「じゃあ次の島に行くわよ。」
次の島・・・それは小さい島であった。瀬戸内海にある無数の無人島の中でも小さく、そして身を隠しやすい場所が多そうな島であった。
「ここ怪しそうだね。この島なら鬼とか居そうだね。」
「うーん・・・気配がないわね・・・。」
こんな身を隠しやすい島でもあるのは鬼の死体ばかり。
「なんかなぁ・・・一つ一つ島を見ていくの怠くね?だから1つ良いことを思い付いたんだけど試してみないか?」
「何?簡単なこと?」
「どんな事思いついたのかしら?」
彩聖の提案に2人は耳を傾ける。
「一つ一つ島を見ていくのって時間がアホみてぇに掛かるじゃろ?だったら生存している鬼どもをここにおびき寄せたらええんじゃね?どうせかなりの数の鬼が生存しているのは分かりきっているんだ。ならここに鬼をおびき寄せて叩けば良い。」
「あれ?彩聖の癖に良い考え・・・」
「なるほどね。私達はここで鬼を迎え討てば良いわけね。いい案じゃない!」
しかし問題はどうやって鬼をおびき寄せるのかという事である。
だがそれも彩聖に考えがあった。
「何でも良いんだ。鬼どもにここに私達がいるという事を知らせるんだよ。狼煙を上げるのもえぇし、デケェ声で遠くの島の鬼を挑発するのもえぇな。なんなら私が一発やってみるわ!」
すると彩聖は大きく息を吸って吐く。そして頭がおかしくなるほどデカい声を出す。
「ごりゃァっっー!!鬼どもかかってこんかぁっっー!!我ら陰陽師が貴様ら外道をブチ殺しに来たっっー!!さぁっ!早うこっちに来て死合せんかっっー!!言っとくがのぉっっーー!!ワシらぁ負けんからよぉっー!覚悟して掛かってけぇのぉっー!!」
この声のボリュームに凛と優奈は頭がおかしくなりそうだ。
「よし!アイツらすぐ来るけぇ準備するぞ!」
「うぅ・・・彩聖の声で頭痛い・・・」
「耳栓持ってきたら良かったかしら・・・」




