小型船の運転免許持っているとか優奈ちゃん君スペック高くない?
彩聖の言葉を無視してハチロクでかっ飛ばした優奈は無事港に到着。
「彩聖ちゃん起きて!港に着いたわよ!」
「あん?いつの間にか寝てしまったのか・・・」
彩聖は優奈の運転が心地良くてうっかり寝てしまっていた。そしてその間に優奈は気持ち良くスピードを出していたのだ。
ここの港では下級陰陽師の名原さんというおじさんが漁師をしていて小型船を貸したりもしてくれるのだが・・・この時間に起きているのだろうか?
「ここは名原のおっさんの家か・・・私の親父の親友・・・。」
彩聖の父と名原さんはなんと友であった。お互い今では冴えないハゲ親父だが昔は荒れていたヤンキーであった。
「お前ら着いてこい。おっさんなら船の手入れしとるはず!」
「え、ええ・・・」
「彩聖待ってよぉ・・」
早歩きで歩く彩聖に2人は必死でついていくと、そこには190センチくらいある大きなハゲ親父がいた。
「おお?彩聖じゃねーか!」
「よう!名原のおっさん。鈴衛のおっさんに言われて船借りに来たぞ。」
「おっ!ということは彩聖が鬼退治するって事か!大仕事だな!あの暴れん坊の彩聖が陰陽師史に残る大仕事とは感慨深いのぅ・・・!」
名原のおっさんは小さい頃から親友の娘彩聖を見てきた。子供のいない名原から見たら彩聖は娘みたいな存在だ。
「私だけじゃない。凛と優奈もいる。」
「ほう・・・。凛ちゃんは一度会った事あるな。優奈・・・もしや迎の旦那の娘か?」
「ええ、そうよ。」
優奈の家は医者。広島県内の陰陽師が怪我の治療や健康診断の時にお世話になる故に名原のおっさんも優奈を知っている。
「ほぉ・・・」
名原のおっさんは優奈を見たが、どうしても彩聖より年上に見えない。20歳になった優奈だがまだ中学生にしか見えず名原のおっさんもなんて言えば良いのか分からず余り多くは喋れなかった。
「そんな事よりお前ら小型船の運転免許持ってんのか?ワシが連れて行ってもええけど、ワシが鬼ヶ島に行っても足引っ張るくらいしか出来んけぇの。」
本当は我が子のように思っている彩聖の手助けをしてあげたいところだが、名原のおっさんは陰陽師としてはめちゃくちゃ弱い。着いて行っても足手まどいになるのは明白だ。
「私が免許持ってるわ。」
優奈は鞄の中から小型船の運転免許を取り出して名原のおっさんに見せた。
「ほぉ・・・小型船の運転免許を持っているとは驚いた。それなら大丈夫だな。貸してやるから行って来い。」
「ありがとう!おっさん!」
「あぁ!必ず生きて帰ってこいよ!」




