彩聖は基本的に毎日寝不足
次の日の朝6時30分
「彩聖ー!早く起きなさい!」
彩聖のお母さんが怒ったように起こしに来る。
「んんっー!分かっとるわ!今から起きるけぇ!」
叩き起こされる感じで目覚めた彩聖は当然のごとく不機嫌である。
「早く起きなさい!アンタそう言っていつもギリギリじゃない!」
彩聖のお母さんは美人で可愛らしく見えるが同時に物凄く怖い。そんなお母さんは毎朝彩聖を怒りながら起こす。
しかし彩聖もそんな起こされ方すると腹が立つ。
「しつけぇっー!毎朝毎朝しつけぇんじゃっ!」
彩聖がここまで怒鳴るとお母さんは黙り込んでしまう。
「あぁ、クソ眠い・・・」
昨日はあの後4時前まで起きていた。倒した妖怪の報告の為に陰陽師広島支部に連絡をして倒した妖怪と被害を詳しく報告していたから寝るのが遅くなった。
「こりゃあ今日は学校で寝ないと体力が持たんな。」
ボッーとしている再びお母さんが怒ったように部屋に来る。
「早く起きてご飯食べられ!凜ちゃんが来とるんじゃけぇ。」
凜ちゃんとは彩聖の同い年の従姉妹の堂林凜だ。
お母さんの妹の娘という続柄で家が近所だから普段から神社の巫女さんとして活動している。ついでに同じ高校に通っているからいつも一緒に登校している。
とりあえず彩聖は制服に着替えて凜に会いに行く。
「持たせたな凜。」
彩聖の前には彩聖と同じくらいの茶髪のボブヘアーの女の子がいた。
「おはよう彩聖。今日もお母さんと喧嘩したの?」
しばらく彩聖は凜をボッーと眺めていた。なんか違和感がしたのだ。
「凜・・・お前髪染めたんだな。勿体無い。」
「えへへ。うちの学校校則緩いからさ。せっかくだから髪染めたの。彩聖も髪染めてみたら?」
「アホか。私はこの黒髪に誇りを持っているんだ。」
彩聖の学校は県内でもトップクラスの進学校。そして住んでいる地方にもよるが進学校って校則が緩いところが結構ある。
「凜よ。私は今日授業中寝てしまうかも知れないからノート後で見せてくれな。」
「え?また?こないだもそんなこと言ってたよね?」
「しゃーないだろ。昨日は討伐の報告で4時前まで起きてたんだからな。」
凜は陰陽師としての力も戦闘をする力もないから彩聖の苦労がいまいち分からない。そもそも妖怪を討伐したことないから討伐の報告とか言われてもよく分からない。
「へー。大変だね。」
よく分からないからご覧の様に適当な言葉を言う。
「凜、おめぇ妖怪討伐した事ねぇから討伐報告の面倒くささが分からんのんじゃ。一回私と討伐に付いてけぇ。」
「ええっー!?あたしも戦うの?烏天狗とか土蜘蛛とか牛鬼とかと?死んじゃうよ!」
まさか凜は彩聖からそんな事を言われるとは思わなかった。
彩聖は基本的に1人で戦う孤高の侍・・・みたいなイメージを勝手に持っていたから余計に思った。
「死なん死なん。私より御札を上手く使えるんじゃけぇ死なんわ。」
凜は御札を使って戦う事が彩聖より上手い。
御札とは陰陽師なら誰でも使えるもので御札に術式を乗せて妖怪に攻撃するのだ。
また術式で壁を出して敵の攻撃を防ぐなど防御の役割としても使える。
凜はその術式を最低限使えるのだが、剣術の方が壊滅的に下手なため討伐には出ないのだ。
ちなみに彩聖は術式は最低限の火の術式のみで御札使った戦いは壊滅的・・・だが剣術を使った戦闘は天才的である。
「とりあえず今日の討伐は凜もついて来い。夜11時に私の家に来い。来ないなら私がお前の家に押しかけるから覚悟しろ。」
彩聖の真剣な目・・・なんか怖い。
「分かったよ。ちゃんと来るから押し掛けないでね。」
「分かれば良し!」