そんな奴聞いたことねぇわ!
家に帰った彩聖は早速支部の奴らに電話で強い妖怪の事を聞いてみた。
「え?強い妖怪?」
「そうだ。私達の親世代も知らないようなとんでもない妖怪がおるんじゃねぇかと思ってな。最近の雰囲気おかしいだろ?あちこちで妖怪が出とるくね?」
電話越しの男、薮田は「うーん」と考える。
「た、確かに多いね。一応僕たちの親世代も戦ったこと無い妖怪なら九尾とか河童とかかな?あとはぬらりひょんとかかな?」
「あぁ、九尾とかぬらりひょんは聞いたことあるな。でも河童は弱いだろ!ゲームとかなら序盤で出てくる雑魚じゃねーか!」
彩聖の想像の中の河童は物凄く可愛らしくて弱々しい妖怪である。
「うん、だから絶滅したとされている。上級陰陽師前田家によって絶滅したと100年前の報告書にはあるね。」
すると藪田は目に入った驚きの情報があった。
「彩聖ちゃん!これ江戸時代の報告書だけど、めっちゃ強い妖怪の名前があった!」
「なんて名前だ?」
「山ン本五郎左衛門と神野悪五郎っていう妖怪。ここ広島県で現れたらしいよ。」
???
彩聖は初めて聞いた名前にしばらく沈黙が続いた。やがて彩聖は大きな声を出す。
「んな奴ら聞いたことねぇーわ!妖怪のくせに人間みたいな名前しやがって!」
「彩聖ちゃん声デカいよ・・・。一応その二人は妖怪の大将の座を巡って争っていたらしいね。それで日ノ本全体で悪さをしたから二人とも中級陰陽師迎家によって惨殺されたとの事らしい。」
「惨殺されたんか。しかも優奈のご先祖様に。死んでるんなら現れる事はないよな。」
そう・・・死んだ者は蘇らない。それがこの世の絶対の掟だ。
しかし藪田は呆れた様な感じである。
「復活はあり得るんだけど・・・実際に九尾なんて100年に1度は復活するしさ。山ン本五郎左衛門、神野悪五郎の二人が復活する可能性もあるさ。」
復活することはあるんかい・・・!しかし彩聖は「フフっ」と笑う。
これほどに強い妖怪なんだから報酬もめっちゃ貰えるはず。ならむしろ早く復活して倒してやりてぇ。
「まぁ復活したら私がブチ殺すから安心せぇ。」




