世の中には殴らにゃ分からん奴もおるんやで〜?
次の日、いつも通り学校に行っていつも通りに授業を受けて部活をする。
彩聖たちの高校は進学校の為、部活動は6時までで片付け等をしたら6時半から7時の間に学校を出なければならない。
彩聖と凜が通う天陵高校は全員何らかの部活に所属しないといけない事になっており彩聖は弓道部、凜は書道部だ。
彩聖の所属する弓道部は全国屈指の名門でいつも全国大会に出てくる。そして身体能力抜群の彩聖なら弓道部でもトップの成績かと思いきやむしろ一番下手である。
そもそも彩聖は刀を用いた戦いが向いている事、そして弓道経験者だらけの名門高校で弓道初心者は彩聖だけな事、それが部内最下位の理由だ。
そして凜の所属する書道部は至って普通の文化系の部活で特に全国とかそんなのは無い緩い部活。
着物を着て部活をするところは本格的な感じがするのだが、みんなお喋りしながら楽しそうである。
ちなみに凜は昔から書道のコンテストで優秀賞を取るぐらい書道が上手く、将来は書道の先生を夢見ている。
さて、そんな二人はいつも一緒に下校する。
「彩聖、おまたせ。帰ろっか?」
凜は部活が楽しかったのかニッコニコであるが彩聖は腕を組んで何かを考えていた。
「どしたの?また部活で上手くいかなかったの?」
彩聖が弓道部で全然上手くやれていないのは凛も知っていた。弓道もだけど人間関係も上手くいっていないらしく、弓道部内で彩聖は変人扱いされている。
「いや、今日は調子こいた事を言ってくる糞先輩がいたから一発どついたんだが・・・先生呼んできやがってな。1時間も説教された。」
もちろん彩聖はしっかり反論した。先輩が人を小馬鹿にしたような言い方してきたからやり返したんだと。
更に「ここで何もやり返さない人間にはなりたくない」だの「私には私の意地がある!この意地、貫き通すっ!」などと鬼気迫る顔で先生に言ったのだ。
「そしたらな?更に怒られたわ。言葉でしっかり言えとな。でもな?私はあの手の馬鹿は口で言ったんじゃあ分からんと思うのよ?世の中には殴られて初めて反省する輩もおるというのをあのバカ先生は知らんのよ。例えば不良なんかに言っても言う事聞かんだろ?そういう奴にゃどついたらにゃおえん。」
彩聖の言う事は一理ある。世の中には殴らないと分からない輩がたくさんいる。
しっかり言葉で分からせようとしろとか言う奴はこの世にどれだけ人の言う事を聞かない底辺がいるのかを分かってなさ過ぎる。
そもそも殴っても全然分からない奴も沢山いるというのに・・・。




