ズバババッサリ!これが彩聖の妖怪の倒し方
そこはごく普通の夜の公園だった・・・
ちょっと大きい公園。
広島県にある、普段なら暴走族や不良達が集まって騒いでいる治安の悪い町ならよくある光景の普通の公園だった・・・。
しかし、この夜は違った・・・。
いつもいる暴走族や不良はそこらへんに死体となって転がっており、その死体は首が無いものや身体がバラバラになっているものが散乱していた。
「よくもまぁこの数の不良をアッサリと殺せたもんだな。」
そんな公園に一人の巫女服を着た女の子がいた。
黒髪ロングで背が低く痩せ型の体型・・・だが彼女は刀・・・日本刀を持っていた。
そして女の子と対面するのは大きな蜘蛛の様な妖怪であった。
「土蜘蛛・・・ランクFの雑魚妖怪。だが、我が家は貧乏なもんでな。貴様を倒せば多少なりと報酬が貰えるから・・・死んでもらう。」
だが土蜘蛛は危機を感じた途端に逃げ出す・・・当たり前だ。土蜘蛛だって生き物なんだから当然死ぬのは怖いしまだ死にたくない。
「我が名は正随彩聖・・・後の天才陰陽師だ!これでも喰らえ!」
そう叫ぶように声を上げて彩聖は手にする刀を土蜘蛛に向かって投げた。
そのスピードはプロ野球選手が投げる160キロのストレートよりも速く、そして重い一撃だった。
「グギャアア・・・」
土蜘蛛に刀が命中するとブシャアという血の吹き出る音がする。あまり聞きたくない音である。
「さてと、よくもヤンキーの兄ちゃんを殺してくれたな?この中には私の中学の先輩もいたのに・・・。」
いつも夜中にこの公園をたまり場にしている暴走族の1人は彩聖の中学時代の先輩。
気安く話しかけて、特に仲良くもなってないのに告白してきて、フッたらストーカーと化した先輩で嫌な思い出しかないのだが、それでも彩聖の思い出に残る人物。
そんな人を殺した土蜘蛛には明日はないっ・・・!
彩聖は土蜘蛛に刺さった刀を抜いて、まるでこの世の人間ではないような殺気を放つ。
「おらぁ妖怪!」
彩聖は派手に土蜘蛛を蹴り飛ばす。それはもうサッカーボールが如くに蹴り飛ばす。
「おめぇには普通に殺すだけじゃ生温い。いたぶって殺してやる。オラァ!!」
デッカい土蜘蛛を蹴り飛ばし、土蜘蛛からは派手に汚い血が流れ出る。
「おい、おめぇ血が赤いじゃねぇか!?赤い血は人間だけのもんだぞオラァ!人でもねぇ蜘蛛が一丁前に赤い血出してんじゃねぇ!!」
蜘蛛が赤い血を出した事に彩聖はブチ切れ、咄嗟に刀でバッサリと斬ってしまった。
「あら、しまった。もう少しいたぶったろうかと思ったのに斬ってしまった・・・。」
とはいえこれで任務完了。彩聖は少し公園のブランコに座る。
「ふぅ・・・手応えなかった。」
やがて心が落ち着くと彩聖はバラバラになった先輩のもとへ行く。
「衣笠先輩、アンタの仇は討った。私はアンタに告白された事を忘れない。だって誰かに告白されたのは衣笠先輩、アンタが始めてだから。何だかんだでアンタと話せて楽しかったよ。またあの世で私に告白してくれな。」
先輩の亡骸に軽くお辞儀をすると彩聖は静かにその場を去っていった。