戦国時代の足軽みたいでええやろ?
彩聖の家に着くと家の隣にある大きな倉庫に行って彩聖は漁る。
倉庫の中はキチンと整理されていて、思っていたのとは違って凜は驚いた。
「彩聖の家ってキチンと倉庫の掃除するんだね。ちょっと意外だな〜」
「そら親父やババアはせんだろうな。私がしっかり掃除してるからな。」
これも意外である。どう見ても物の扱いが悪そうな彩聖が掃除なんて信じられない。
「あ、彩聖が掃除・・・?乱暴な女の子って部屋が汚いイメージあるのに・・・」
「おいコラ!誰が乱暴なら!私は大人しいだろうがっ!私は綺麗好きなんだよ、乙女は綺麗好きで可愛く賢くあれ!を貫いとんじゃ!」
うーん・・・と凜は考える。彩聖は可愛いし美人で賢いけど乙女を感じない・・・かといって群れて不良軍団を作るタイプにも感じない。
「彩聖は『漢』だね。乙女ではないよ間違いなく。」
漢・・・決して群れず、弱き者を助け強き者を倒す。
そしてどこか堂々していて華のある者、同性でもうっかり惚れてしまういで立ちの者・・・それが『漢』である。
「『漢』か。悪くない。全然悪くない・・・むしろ誇らしいな!ハッハッハ!」
上機嫌な彩聖はふと目に付いた物を手に取った。
「おっ、凛に丁度良い武器見つけたぞ。おめぇこれ持ってみぃ。私が中学生の時に使っていた槍だぞ。」
凛に槍を渡すと凜は重たそうな顔をする。
「これ・・・重っ!」
よく見ると普通の槍より長い長槍・・・戦国時代によく使われていた武器である。
「これは敵に近付くのが抵抗ある初心者に向いている武器だな。あとは敵を殺すという罪悪感の軽減も出来る。」
刀や包丁みたいに至近距離で刺したり斬ったりするより遠いところから突き殺す方が罪悪感は減る。相手の顔を近くで見て殺すのと顔をあまり見ずに殺すのでは罪の意識が全然変わってくるのだ。
「てか凜は槍持つの似合っとるな!戦国時代の足軽みてぇだな。鎧兜も着るか?カッコいいぞ!戦国の世を駆け抜けた熱き『漢』みたいで!」
勝手に1人で盛り上がっている彩聖だが凜は丁寧に彩聖を怒らせないように断る。
「ゴメン、あたしじゃ鎧兜は重くて着たら動けないと思う・・・ごめんね?」
「ふむ・・・残念。だがしばらく槍を使える様に練習しとけ。」