武器が無きゃ戦えないよ
ナンパしてきた輩の根性を叩き直すために彩聖は小一時間輩たちを追い回した。
流石の彩聖も大きな男を追い回すのは疲れる。
「ふぅ、これであのバカたちも根性鍛える気になるだろうし、男が磨かれて女の子にモテモテになるだろう。良いことをした後は気分良いな!愉快愉快!」
「あれ・・・良いことなんだ?」
凜からするとどう見ても彩聖が輩を虐めているようにしか見えなかったが・・・。
「良いことだろう?あのままチンピラ見たいな根性では社会のお荷物となるし女にモテないだろ。今日の経験が十年後の彼らの為になるんだ。だから良いことなのだよ」
上手いことを言っているけど凜からしたら彩聖が輩を虐めるのが楽しいと思っているようにしか見えない・・・。
チンピラや半グレ集団ならいくらでも殴っても良いと思っているところがあると思う。
「そんな事よりだな!凜、おめぇ武器使え。ナイフでもノコギリでも包丁でも良い。鉄パイプでも良い。何でも良いから妖怪と戦う時に武器を使おう!」
「い、いきなりどうしたの?」
「輩が絡んできて言い忘れていたんだよ。この周辺に近い内に必ず妖怪が出る。その時におめぇがちゃんと戦う為に武器を使えってことだ。家に包丁ぐらいあるだろ?それでも良いぞ」
「あたしには御札があるから大丈夫じゃ?それに包丁とかなんか怖い。刀より怖く感じるんだけど。」
凜の言い分・・・何となく分かる。包丁持って外出るのってなんか怖い・・・犯罪でも起こすんじゃね?って感じに見える。
でも刀だと同じ刃物でも「ああ、これから戦いに行くんだな〜」って感じに見える。
「凜、いくら私より御札使うのが上手くても所詮は下級陰陽師だ。中級以上の陰陽師と比べると圧倒的に術の扱いが劣るんだ。武器が無いとロクに戦えないぞ」
下級陰陽師は中級以上も陰陽師と比べると明らかに術の扱いが下手である。これは努力では何ともならない大きな壁である。
その為に下級陰陽師たちは武器を手に取り戦う。
武器を極めたら術より強いと彩聖は確信している。
「で、でもあたし武器の使い方よく分からないし包丁で刺す感覚分からないよ・・・」
「別に包丁じゃのうてもええ。私の家に丁度良い武器があるんだ。帰りに家に寄ってこい。」