大人の風格、貫禄の出し方
街を見て回り、買い物も済ますともう夕方である。
「今日は晩飯いらんとババアに言っているから今日は街で飯を食うけど凜も食わないか?奢るよ。」
「うん。お願いするよ。今日は歩き回ったからお腹ペコペコだぁ~」
二人は飲食店が多い通りに出ると沢山あるお店の中から何を食べるか考えるのに夢中になってしまう。
「ラーメン、うどん、定食、フランス料理・・・全部食いてぇなぁ。」
ヨダレを垂らしてみっともない顔をする彩聖と凜。
「うーん。どれもコレも美味そうだから迷うよな・・・凜は何が食いたい?」
そう聞かれても凜も食べたいものが多すぎて困っている。しかしその時凜の目に入ったのは1つの喫茶店であった。
「彩聖!喫茶店とかどうかな?コーヒーを嗜みながら料理を食べるなんて大人じゃない?」
「バーカ。親父たちが倒せない妖怪を倒している時点で私達は大人なんだよ。というわけで喫茶店に行こうか。」
「うん!いこう行こう!」
二人は喫茶店の中に入ると・・・物凄いお洒落な感じだった。
巫女さんと垢抜けない女の子二人で入るのは少し抵抗がある。
しかし、そんな雰囲気があっても彩聖はただ堂々と席に行く。
「おどおどすんな。堂々と入れば良い。ガキがバレるぞ。」
彩聖は慣れない場所でも堂々としていた。そしてそんな彩聖から大人の風格が漂っていた。
二人が席につくと一息つく凜。そんな凜に彩聖は言いたい事があるようであった。
「凜よ、大人に見られたいのなら堂々とせぇ。大人がおどおどすると思うか?そんな大人が尊敬されると思うか?カッコいいか?」
「い、いや・・・そんな大人にはなりたくないなぁ・・・」
「なら堂々とせぇ。若い頃から理想の大人の真似をせぇ。すると十年後には自分もなりたかった理想の大人にはなれるけぇ。若いこの時期が一番大事なんだから。」
彩聖は時々こういう心に響く事を言う。恐らく自分は両親みたいなショボい奴にはなりたくないから昔からこういう事を考えていたんだろう。
そういう事を考えて生きてきたからどこか悟りを開いたような考え方が出来るのだろう。
凜は彩聖のそういう考え方が凄いと思うし尊敬している。