彩聖ちゃんは陰陽師広島支部の人気者なんやってさ
次の日曜日、彩聖は凜と討伐報酬のお金を貰いに広島支部に赴く。
「あ、彩聖ちゃんだ!」
「いらっしゃい彩聖ちゃん。1週間ぶりね」
「おう、みんな1週間ぶりだな」
彩聖からしたら約一週間ぶりの支部。ほぼ毎週のように行くから広島支部で知らない者はいないぐらいの知名度である。
彩聖は支部に着くと真っ先に壁に大きく貼られている討伐数ランキングを見る。
そこには・・・
1位 正随彩聖
2位 大瀬良大矢
3位 梵英二
4位 永川勝利
5位 中村大志
6位 白濱大将
7位 迎優奈
8位 倉倫理
9位 西山進
10位 栗原栗太郎
討伐した妖怪の数は書かれてはいないが広島県内の陰陽師でトップの討伐数である。
「す、凄い・・・あの中級陰陽師の梵さんや大瀬良さん、大ベテランの白濱さんや永川さんより倒しているなんて・・・。」
広島には50人くらい討伐任務をしている陰陽師がいるが名だたる猛者を抑えての1位だ。
「まぁいつものことだからな。それに殆どが別の仕事もしている人だからな。毎日討伐している人ばかりじゃないからな。」
そう、毎日夜中に討伐しているのは暇な学生ぐらいである。
「でも凄いよ!きっとお給料も凄いんだよね?毎週いくらぐらい貰っているの?」
「週によって全然違うな。たまに土蜘蛛や鳥天狗が大量発生している任務があるが、アレをやれば簡単に30万は稼げる。」
とはいえ、そんな任務は半年に一回くらいである。
「でも週に10万は確実に稼いでいるよ。まぁ貯金しなきゃだから、遊びに使えんのんよな・・・。」
彩聖が毎日寝る間も惜しんで討伐しているのはお金を貯めて京都の大学に行くためである。
正随家は父の収入がとにかく少なく、母がパートで働いてギリギリやって行けるレベルの貧困さである。
そんな正随家だ。彩聖が京都の大学に行っても学費なんて払えない。だから彩聖は討伐して必死に大学行くための資金を稼いでいる。
陰陽師は学歴をとにかく重視する組織で高卒では給料の安い仕事しかやらせてもらえない。
下級陰陽師の彩聖が陰陽師の組織で出世するなら京都の国立大学『帝国京都大学』を出なければならない。
その為、彩聖は日々討伐の任務と勉強に大忙しなのである。