魔人解放戦線
当たりはもう真っ暗で森の中、少女が焚火のまえで座っていた。
彼女の名前はイオだという。
確か木星の第1衛星だっけか。
話を聞いたところ彼女は吸血鬼らしい。
『記憶喪失か。。。厄介だなぁ。』
とりあえず記憶喪失ということにしてチュートリアルを受けることにした。
『ここは世界樹の根本といって、文字道理世界樹の根っこの周り。
森林が広がっているのは樹齢の高い木には苔がはえるみたいなもんさ。
じゃあ昔話をしよう。
150年前にいくつもの世界を支えていた世界樹が枯れてしまったことによって世界の間の壁がなくなってしまった。
初めはいろいろな種族の国が国交を結び、誰もが幸せだった。
でもそこに一つの問題が起こった。
万物はマナを持っている。
そして僕たち、吸血鬼のような魔人はマナを取り込まなければ生きてはいけない。吸血鬼はさらに血液でなくてはいけなかった。
はじめの理由はわからない。だけど吸血鬼が人間を襲ってしまったんだ。
それに激怒した人間は他の国々と結託して僕たちの世界に侵略を始めたんだ。吸血鬼の心臓を食べれば不老不死になれるとかいろいろな噂を流してね。
そしてそこからまだに戦争は続いているんだ。』
淡々と語っているがとても辛そうだった。彼女の家族はもしかしたら殺されてしまったのかもしれない。彼女は無念だったのだろうか。やるせなかったのだろうか。深い絶望の淵で彼女は何を思ったのか俺には知る由もなかった。
彼女の恰好から見てもとても文化的な生活ができているとは思えない。
これはゲームだとわかっていながらも俺は彼女の力になりたいと思ってしまった。
「なんとなく思い出してきたよ。ありがとう。」
森の中、焚火にあてられているからか顔が熱い。自分の中にあるはずもない記憶を思い出しているような不思議な感覚がした。なんとなく昔、この森で何が起こったのかなんとなくわかってしまう。
俺は星を眺めた。
いかんいかんブルーになってしまった。
「そうだ、俺の故郷の話をしてやるよ」
少しでも盛り上げようと話を振ってみた。
『記憶喪失じゃあなかったんですか・・?』
彼女は苦笑いしながら俺の話を聞いてくれた。
戦争のない平和な街で、ご飯が捨てるほどあってどれもおいしい話、きれいな夜景や、ゲームなどの娯楽のことなど、世界は広く、そして美しいこと、たくさんのことを話してやった。
『ふふっ何百年前から生きているんですか。』
彼女は笑顔を見せてくれた。でも何百年前というのは引っかかったが、今はこの子に昔のことを忘れさせてあげようと俺は必死になっていた。