チュートリアル
「あたったあああああああ!!!」
俺は楽しみにしていたゲームのベータテストに当たった。
そのゲームはPVPVEの新作ゲームその名も「fantasy squad」
ストーリー要素や、サバイバル要素、協力しての大型クエストや、パーティを組んでのPVPまでできてしまう自由度の高いオープンワールドのゲームだ。
このゲームはオンライン接続による世界中のプレイヤーとのプレイが可能で言語は自動翻訳されてどの国の人とも楽しく遊べるという。
さらに念願のフルダイブ技術搭載ということで世界中の人が注目を集めていた。
俺は十五万人のベータテスターの一人というわけだ。
家に届いた専用のゴーグルをはめて、早速ログイン。
いだだだ。全身に電流が流れ、意識が離れていくのを感じた。
『はあ、はあ、誰かいないのか!?』
男の声が聞こえる。若い。まだ声変わりもしていない男の子の声だ。
『があ!』
何かに襲われていのか?
何も見えない。
胸当たりに手が当たっている感覚がある。
『お願い。誰か助けて。。。』
今にもかすれそうな声で少年は俺の体にしがみつく。
急に視界が開けた。俺は無機質な部屋の中にいた。
ビッビビ
「プログラム正常。データの初期化。。。成功、視界情報の読み込み。。。正常。」
広告のナレータの声が聞こえる。チュートリアルがやっと始まったようだ。
「インターフェイスの表示。。。正常。」
いつも生活している時のような視界で、左上にはHPとその下にSPと書かれたインターフェイスがあり、左下にはチャットや、ログが出ると思われる画面。視界のまっすぐ上に、じぶんの見ている角度が細かく書かれたものがある。右上の端っこに設定画面を開くと思われる歯車マーク、真下にインベントリがあり、右下には食料ゲージと水分ゲージがある。
「よし、なんとなくわかってきた。」
「ジジッ。。あなたの見た目をえらんでください。あとから変更することはできません。」
キャラクリエイト画面に映った。
「うーん、やっぱPVPするし小柄な方がいいかな。」
性別は女性を選択。身長を設定できる最低値の150センチにして、目は白。髪は薄紫ともピンクとも言えないぐらいの色を選択し、少しぼさついた感じにしてみた。
「体形は。。。ふふ」
まったくなくはないけどぐらいの胸にし、お尻も小さくした。
「いいな」
ガッツポーズを心の中でしながら、俺は自分の理想の少女を作り出した。
やはりフルダイブゲームで、一人の人間の体を作ることにになるからか、キャラクリの幅がとんでもなく広い。
目だけでも一万種類あり、基本は粘土のように手で動かして、それに近いものを選択するシステムだった。
「プレイアブルキャラクターとの同期を開始。。。成功しました。」
視界が下がり、手が縮む。物も縮んでいき、なんだか切ない気持ちになったが、俺は完全に女の子になった。
世界の時間が進む。
目の前には少女と全長2m近い狼のようなモンスターが2体と約5mのボスと思われる狼がいた。
大きな狼を小さな狼が囲んでいるような布陣だ。
真下のインベントリにいろいろな武器がはいっていたのでノータイムでナイフを選択。
腰に急に重みがかかり、重心が左にずれた。見て見ると、包丁ぐらいの大きさのナイフが鞘に刺さっていた。
ナイフを抜くと刃先が金色に光るゲーミングなナイフだった。
「重い。。。」
体形を小柄にしたことで筋力が低下したのかもしれない。
「ジジッ。。武器を構えてください。」
アナウンスが流れ、俺は武器を構える。
ご都合主義なのか警戒しているのか、狼はまったく襲い掛かってこないのでこちらから切りかかることにした。
俺はナイフを構える。するとスキル獲得の表記があり、左下にログが流れる。そのスキルを念じながら。俺は前に走り出した。
【クラウドバースト】!!
すると体が勝手に動き出し、懐に潜り込んで一匹の狼の首を左下から掻き切り、もう一匹も流れるように首を切り裂く。そして、空中に飛び上がってボスと思われる狼の脳天にナイフを突き刺した。
おお!!かっこいいな!!
画面の真ん中にレベル2の文字とエフェクトが入った。ログにスキルポイント獲得;5の表記。
「スキルツリーへ移行してください。」
スキルポイント振り分けのチュートリアルのようだ。
武器スキルと能力パラメーターで分かれている。
スキルツリーを進めることによって武器スキルを入手することができるもので、能力パラメーターは各ステータスの伸びやすさに影響してくるようだ。
能力パラメータ変更の画面に映る。
振り分け可能なポイント:25
VIT(体力) 5
STR(攻撃力) 3
DIF(防御力) 1
SP (スタミナ) 10
MEN(魔法防御力) 1
AGI(俊敏性) 15
と表記されていた。やはり小柄なことで攻撃力などの筋力の関係するステータスは低いようだ。
しかしながら俺は迷わずAGI全振りした。
俺が求めているのはやはりスピードなのだ。敵を初見殺しする快感のためにやっているからね。
武器スキルでは2ポイントでスキル【ブリンク】を入手し、3ポイントで【攻撃時の消費スタミナ低下】を獲得した。
【ブリンク】は獲得するのにレベル5以下でAGI40以上という条件があったが全振りした俺には関係なかった。
「そろそろ、ストーリーに戻るか。」
長いこと少女を待たせてしまった。本編に戻ろう。
『あ。。。目覚めたのですね!!。』
はじめに聞こえた少年の声が聞こえる。
目を開けるとボロボロの服で、赤い目をした隻眼の少女がうれしそうな悲しそうな顔をしながら俺に笑いかけた。