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テクブレファンタジー

はじまり

「──おい!中山!起きろ!」

教室に怒号が響く。

「へっ…?」

ぼやけた視界に写っているのは指導のねちっこさで有名な俺の担任である。一度熱が入ると満足するまで絶対に止まらない。

「補修中に寝るとはどういう了見だ?大体学生というのはだね──」

そしてテンプレ通り長尺説教が始まった…

~30分後~

「──つまり、道があるんだよ。分かるか?」

「えぇ…はい…すみません」

内容はテンプレに次ぐテンプレのオンパレードだ。ダメ教師にありがちな例えで悦に入ってるだけの中身のない説教である。

書き起こす価値もない。

~1時間後~

「──分かるかい?教室を画用紙に例えるならば…」

「えぇ…そうっすね」

長い。そして特にコメントはない。

~2時間後~

「──そうだろう?君もそう思うだろう?」

「えぇ、僕もそう思います」

俺のやるべきことはテンプレの回答を返すだけ。補修に比べたら実に単純明快だが2時間ともなると流石にきつい。

~6時間後~

「──つまり出席番号19番の田中は量子学上存在しないも同然なのだよ」

「…」

そうか…田中は存在しなかっt…

『ブォォォォォォォォォン!!!!!』

俺の無為な思考は突如、謎の爆音によって中断された

「なんだァ!?」

担任は音の方向に顔を向ける─

 ドゴォ!

─のを俺が視認する前に、視界は一瞬躍り出てきた黒い塊により闇に支配された。刹那、視界は晴れいつもの教室に戻り──

「!?」

声も出なかった。

「これは…トラック?」

トラックは教室の柱にぶつかりバンパーはぐちゃぐちゃになっていた。運転席には誰もいない。そしてそこにあるべき担任の死体も無かった。

適応能力の高い俺はすぐに気づいた。

「これって異世界転生じゃねーか!」

~翌日~

次の日、俺のクラス302教室は閉鎖されていて俺たち生徒たちは臨時で多目的室をホームルームとして使うことになった。当然だ。学びの場にトラックという存在はあまりにも異質すぎる。

「ねぇ何で俺らのクラスの教室閉鎖されてんの?」

「なんかトラックが突っ込んだらしいよ」

「えっ…?3階だぜ?あそこ」

「どういうことだよ…」

ガラガラガラ…

「はーい静かにしてー!」

入ってきたのは副担任の女性教師と教頭先生だ。

「おいおい担任は…」

「死んだんじゃね?あいつ年の割に説教長いからよぉ。高血圧とかで…」

「まさかーw」ザワザワザワ

「おい静かにしろ!」

教頭が叫ぶ。教室は静寂に包まれた。

「えー…君たちの担任の氷山先生は異世界転生されました。」


静寂を破ったのは教育の場に似つかわしくない「異世界転生」の5文字だった──

おわり

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