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女神に愛されし者  作者: 丸山圭喜
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1話 新たな人生 波乱の幕開け

ユヘルとカルティナが降り立った土地。

そこは豊かな緑が広がるユルサレア草原

肌触りの良い芝が生い茂っておりここで横になるととても気持ちよく眠れるとの事を聞きつけ遠くの国からわざわざ訪れに来る人が

多い。

「契りを交わして結婚するのよォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ‼︎

ダァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァリィィィィィィィィィィィィィン‼︎」

そんな穏やかな草原に謎の言葉が響き渡る。

声を出したのは女神カルティナ。

目の前の元女神からありえない発言を聞いた

ユヘルは目の前の女神を見て思考停止

している。

一体どんな会話をしたらそうなるのか。

プロポーズどこらが、お付き合いのおの字も

言った記憶がないユヘルにとって、

なんでそんなことになった経緯を考えているが何も思い浮かばない。

はっと我に帰り慌てて理由を聞く。

「ちょ、ちょっと待って!なんでよ⁈

なんでいきなりそうなってんの⁈俺は一度もそんな発言したことないよ!」

ユヘルは自分をここに連れてきた恩人でもあるはずの人物に思いっきり怒鳴った。

ユヘルはこの女神と良好な関係を持ちたいと思ってた矢先のことである。

するとカルティナは一瞬ポカンと音がした

ような間抜け顔になったがすぐに言い返してきた。

「何を言ってるよ。あの夢想空間であなたは確かに私に言ったわ。そう、あの発言はもはや私に対してのプローポォ〜〜ズ‼︎

あの発言をプロポーズと言わずして

何をプロポーズというのか‼︎」

謎の効果音が聞こえた挙句右手で思いっきりガッツポーズを作り、その表情はものすごく熱くなっている。それはかの有名は太陽と呼ばれる男と同じぐらいに。

先程の精神世界をおそらく夢想世界と

いうのだろうが今はどうでもいい。

今聞きたいのはその後だ。

「その後って俺なんか言った?

結婚してくださいとか付き合おうなんて

言った覚えないよ⁈どういう事⁈」

ユヘルから質問されたカルティナは大きく

息を吐いた。何か重大な話をする雰囲気を

出している。内容は酷いが。

するとカルティナはガッツポーズを作っていた右手を顔に近づけ額につけ、瞼を閉じ少し顎を上に向けて空を見上げている。

この時左腕は上に掲げ右足を前に少し大きく開き、左足は少し後ろに下げている。

簡単に言うと凄い謎のポーズを取っている。

そして目の前にいる女神は語り出す。

虚言を真実と捉え、己の理想に理想を混ぜ合わせた全く違う事実を。

「貴方は確かに言ったわ。そう。私に(貴方にこの世界だとわからない事だらけだから俺の

生活を手伝って欲しい)と!」

上に掲げていた左腕を腰につけ、

額につけていた右手をこちらにユヘルの方に近づけながらその言葉を吐いた。

顔は覚悟が決まっているような表情だ。

自信満々に答えた彼女はその顔つきを一切変えない。笑い飛ばすところであろうが

彼女は笑わなかった。本当にそう思ってるからだろう。    

その顔つきと迫力と虚言に思わず下がった。

迫力が凄いのはわかっているが、

そんな理由で後ろには下がらない。

下がった理由は、彼女がその発言を全く違う解釈をしているからだ。

押されていたが、ようやく口を開く。

今の答えに解しての回答だ。

「それ…別にずっとじゃなかったんだけど。慣れてきたら帰ってもらう

予定なんだけど……」

「………ん?何?嘘?えっ?帰ってもらう?

はっは?嘘でしょ本当に言ってる?」

「本当」

「プロポーズは…結婚は…嘘?」

「嘘じゃなくてカルティナが単純に間違えただけだよ」

目の前のバカ(女神)は信じられないような顔をしているが、それは向こうが勝手に勘違いしたからだ。

あの時すぐに遮られたがずっとではない。

ある程度慣れてきたら帰ってもらう予定だっだのだ。女神だから、ましてや愛の女神となると何も知らない凡人にずっと付き添っている暇はないと思ったからだ。

だから最初だけでいいと思い言おうとしたの

だが、その話をすぐに遮られていた

今思えばあの時僅か数秒にも満たない会話の中ですでにこの女神は結婚という謎の脳内自己完結妄想により解釈違いの答えが導き出されてしまい押し負けて言わなかったのがおかしな方に向かってしまった。

それを聴いたカルティナは覚悟の顔から焦った表情に変わっていた。目が泳いで焦りからか汗が流れ始めた。

誤解なのにここまで焦るものなのか?

「なんでよ⁈男女の関係に手伝ってって言葉が出たのよ⁈生活するのに‼︎生きていくために‼︎それって遠回しに(お付き合いください)って意味でしょ⁈それはもう結婚でしょ‼︎ 付き合う必要なんてないわよ‼︎結婚よ結婚‼︎

生活を支える。男と女が二人。お付き合い。それはもう結婚よ‼︎」

この時のカルティナの両目は大きく開き、

血管が走っていた。

一体どう解釈したらここまで行くのか。

発想がおかしいとしか言葉が出なかった。

それはあまりにも行きすぎているからだ。

本来であればお付き合いをし、お互いの愛を確かめ合いそこでようやく結婚という

一つの通過点を通る。しかし、

愛の女神にも関わらずこの女性は

その手順を一向に無視しいきなり経過しようとしたのだ。

呆れるが、どう呆れればいいのかわからなかったユヘルは一周回ってもう諦めた。

(この人に結婚とか恋愛に関するワードを話の話題に持ち込むの絶対やめよ。恋バナしたら

絶対暴走する)

内心密かに違いを立てたユヘルであった。

「それのどこをどう解釈したら結婚になるのよ。そんなんで結婚とか言ってよく

(私は愛の神)なんて言えたよね。」

「グハッ‼︎ゴバァッ‼︎」

カルティナがその言葉を聞くと口から血が出るような呻き声をあげて膝から地面に倒れ

四つん這いになる体制になった。

ユヘルがその言葉をわかりやすく強調するようにその時のポーズまでしていじった。

だがその反応がオーバーアピール過ぎた。

口で効果音までつけて四つん這いになるなんてどれほどショックを受けているのか。

まるで宝くじの当選番号を一つ違うくらいのショックだ。

「それだけは…」

「?」

カルティナの声のトーンが一気に下がり、

何か言ってるみたいだが何言ったのか分からずしゃがみ込みカルティナの顔の近くに自分の顔を近づけた。

だがこれが失敗だった。

「それだけはァァァァァァァァぁぁぁァァァァそれだけは言わないでェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ返す言葉がないからァァァァぁぁぁァァァァぁぁぁァァァァぁぁぁ‼︎‼︎‼︎」

普段は静かなユルサレア草原全体に響き渡るほどの絶叫。不意に顔を近づけてしまった

ユヘルはそのあまりの絶叫のうるささに後ろに転がりそのまま寝そべる状態になった。

上体だけを起こしカルティナを見つめる。

涙を流しながら叫んでいる。

ただの誤解を通り越して最早狂気を感じるまでいったカルティナは、泣きながら述べる。

「だァってェェ‼︎普通そうでしょ‼︎そうなるでしょ‼︎付き合うって言葉は愛をより深める為の言葉よ‼︎そこまでいうなら愛は深まり普通結婚まで行くでしょ‼︎それなのに最近の奴らと来たらそんな言葉をまるで最初からそんな気がなくて騙すために行ってんじゃん‼︎(僕は君を心の底から愛している。どうか付き合ってくれ。もちろん結婚を前提に)とかさ‼︎(貴方じゃやだなの‼︎貴方の心に惹かれたの‼︎だから付き合って‼︎私を愛さなくてもいいから‼︎私は貴方を愛してるから‼︎)とかさぁぁぁ‼︎よく言うじゃん‼︎そしたらね‼︎そしたらね‼︎大体詐欺るとか美人局とかだったりしてるし‼︎殆ど騙してんじゃん‼︎偽りの愛じゃん‼︎だったら最初から愛すなや‼︎だから貴方が言った時告白だと思ったもん‼︎なのに[そんな訳で言った訳じゃない]ってェェェェェェ⁈完全私の

早とちりになっちゃうじゃぁァァァァん‼︎」

「いや勘違いにしてもそこまでは行かないでしょ普通。てかそんな事あるの⁈何美人局って⁈怖い‼︎結婚以前に恋愛が怖い‼︎」

純粋に怖い。そう思ってしまった。

というか結婚する詐欺なんてあるのすら知らなかったユヘルは結婚についての認識が180度変わってしまった。だが目の前にいる女神は腐り散らかしてもあくまでも愛の女神。

そんな彼女がいうのだから詐欺とかの話は本当なのだろう。

だがユヘルは家族の愛しか知らない。

なので愛に対する認識をよくわかっていないので何も言えなかった。

「そこまで言うとは思わなかったけど…付き合ってからが必要でしょいくらなんでも。

いきなりは無理だよ。」

ため息混じりに悪態をつく。

それは当然だ。こんなこと言われて一緒に

旅しようなんて思えない。こっちの身が

滅ぶのが明確だった。

無理と言った時カルティナがこっちに顔を上げた。その顔には焦りの表情を表しているのがわかりやすかった。焦りの汗か、

汗を流し、目が泳いでいる。

「まっ待って‼︎」

カルティナが四つん這いのままユヘルの腰にしがみつく。周りに人がいない状況なのが幸いだ。こんなの見られたら明らかに捨てようとする彼氏に必死にしがみつく彼女という

修羅場と勘違いされそうだからだ。

間違ってはいないけど。

腰にしがみつき、力強くユヘルのズボンを握る。

「ごめんンンンンん‼︎そこは謝るから‼︎

わかったから‼︎私の早とちりは認めるから‼︎

私を見捨てないで‼︎‼︎お願い‼︎わかった‼︎

結婚まではいかないって約束する‼︎せめて付き合いましょう‼︎それでいいでしょ‼︎」

カルティナからの謝罪。結婚まではいかないと言っているが、知らないうちに話を進めそうで怖い。ましてやさっき会ったばかりの不審者から“付き合う"なんて言葉言われたら

逃げ出したくなる。

「その『付き合う』って言葉をすっ飛ばしたのどこの誰かわかってるの?」

「ァァァァぁぁぁァァァァぁぁぁァァァァぁぁぁそこに着いては誠に申し訳ありませんでしたァァァァぁぁぁァァァァぁぁぁァァァァぁぁぁぁぁぁァァァァぁぁぁ‼︎‼︎」

攻めたつもりで言ったが、まさかの土下座。

しかも綺麗な土下座。日本文化の象徴である

土下座をなぜここまで綺麗に一切の抵抗なく行えるのかが不思議だった。

「お願い…捨てないで…もう戻れないの…

他の神達の反対押し切ってまで来たから……

私が本当の愛を見つけるって言っちゃったから……」

叫びまくったせいなのか勢いが消えた。

だがそれでも意思は消えていない。

土下座したまま必死に懇願してくる。

さっきまでの元気が跡形もないほどに落ち込みまくっている。…ん?『戻れない』?

「……えっ戻れないの?もうさっきみたいなところに?」

「うん」

「もしかして…ずっと?」

「うん」

ここまでとは思わなかった。まさか自分に

着いてくる為だけにもう戻らない選択を取るなんて。

ユヘルはあまりの衝撃発言に稲妻が走り、

両目を隠すように右手を顔につける。

(ここまでとは考えなかったよ⁈何やってるの

この人‼︎俺の発言ここまで間違えるの⁈)

思ってもいなかった。

この人の“覚悟“を。この人はわざわざ自分だけ飽きたり疲れたり嫌になったりしたら帰れたというのにそれを選ばなかった。

この元女神は今、自分と同じ状況なのだ。

「だからお願いィィィィィィ

捨てないでええェェ〜〜〜」

必死に縋り付く元女神。

必死に考える。もしこの人をこのまま置いておいたらどうなるのか。

カルティナはこれでもあくまで女神。

こっちの世界にも“信仰“はあるはずだ。

もしそうだとしたら彼女が変な事を起こすか

起こされかねない事になる。

悩みに悩んでため息混じりに

ユヘルが出した答えは…。

「はぁ。わかりました。そこまで行って

帰ってくださいって言ったら鬼ですもんね。

わかりました。一緒に行きましょう。

あっ、でも結婚は駄目ですよ。

そこは願いしますよ。」

ユヘルは女神の狂言、妄言を許し、

彼女を捨てるのではなく、同行を選んだ。

ユヘルが最初に考えていたのはプランは

最初のうちは同行してもらい、慣れてきたら帰ってもらうプランだった。

しかし、この女神の勘違いと

この女神の“下界“の覚悟を舐めていた。

彼女もまた、ユヘルと同じ心情で来たのだ。

真実の愛などユヘルにはわからない。

彼が知るのは“愛情“であり“愛“ではないのだ。

その覚悟を踏み躙るなどユヘルには

出来ない。出来るはずがない。

ユヘルは知っているのだ。

彼女と同じように、覚悟を決め、夢の実現の為に進む人間達の迫力を。

(元はと言えば俺が提案した事だ。

その結果この人は俺と同じ状況なんだ。

ここで否定して恨まれるのだけは嫌だし、

そもそも俺が嫌だ。)

元を正せば同行を提案したのはユヘルだ。

なので彼にも責任はある。

ついに認めると目の前の元女神が小刻みに

震え始めた。

「やっ……」

何を言ってるのかわからないので顔を近づけてみた。

その行動が不味かった。

「いやったァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ‼︎‼︎‼︎」

四つん這いの状態から急にジャンプしてきて

カルティナの頭がユヘルのアゴに当たった。物凄い鈍い音を出し、ユヘルは後ろに飛んでいき、そのユヘルを飛ばした張本人はユヘルを置いて走り喜び回っている。

「よっしゃぁぁぁこれで私は自由よ!

ソルターおじさんとセバントリアの

クソ野郎‼︎遂にやるわよ‼︎私が‼︎見つけるのよ‼︎

本物の‼︎“真実の愛“を‼︎

そしてイグォウちゃん‼︎ごめんね‼︎

私先行ってるから‼︎後から来てね‼︎

うざい奴らからなんか私に関して言われたら

適当な事言っといてーーー‼︎

最悪殺しちゃえーーーーーー‼︎」

カルティナは空に向けて手を振りながら

おそらく別の所にいる数少ない友人達に

向けて気品のない発言をしている。

カルティナは興奮して気付かない。

自分の愛人(カルティナがそう思ってるだけ)のユヘルがカルティナによる顎への

ヘッドバットがクリティカルヒットし、

見事に白目を剥き気絶している。

もちろんカルティナがこれに気づくことなく挨拶が終わると嬉しさのあまりカルティナは

ユルサレア草原を走り回りだした。

途中にバク転や踊りを組み入れ、

上に大きく手を広げたり横に振りながら

走り回ってる。

それはまるで一人でやってる阿鼻叫喚。

事情を知らない全くの赤の他人がこれを

見たらおそらくドン引きするだろう。

実際遠くから観光客らしき家族連れが

来ていたがカルティナの奇声が聞こえ、

狂乱行動を目にしてそそくさと帰った。

もちろんこの間もユヘルは気を失っている。

これは彼が病という枷から外れて初めての

気絶だった。

そしてユヘルは気を失った。

………………暗闇の中から少しずつ

光が見えてきた。

徐々に開く目を早く開けるために目を擦る。

まだ視界がぼやけ、朦朧としているが

徐々に目を開けていく。

すると光が見えて来たのに急に目の前が暗くなった。まだぼやけているので何が起こったのかわからない。

両手で擦るとようやく景色が

はっきりしてきた。

「あっユヘル起きた‼︎大丈夫?」

「うん……なんとか……」

影の正体はカルティナが上から顔を覗かせてきたから出来た影だった。

カルティナの返事にユヘルは答える。

顎に多少の痛みはあるが、今はもうあまり

痛くはなかった。

カルティナはユヘルの目が覚めた事に

や大きく息を吐いた。

「目が覚めた⁈ あ〜危なかった〜。

いや〜気づいたら気を失っていたから

焦ったわよ〜本当にもー‼︎気をつけてよね‼︎」

(お前のせいだろ)

犯人はまるで自分がやった事への反省どころか、自分がやった事に気づいてないかった。

大きく息を吐き、ユヘルの無事を安堵しているこの元凶はこの不審者だ。

「覚えてない…絶対やり返してやる」

だがなんの反省もないので復讐を誓う。

「ん?なんか言った?」

「何も言ってないよー」

心の中で唱えようとしたが、怒りか何かで

思わず口に出してしまった。

笑顔で聞いてくるカルティナだったが、

身の危険を感じ、咄嗟に嘘をついた。

女神の威圧というのか、一瞬だけだったが、

背筋が凍りついた。

だがやり返すのには代わりはない。

とにかく話を変える。

「そっそういえばカルティナ。

教えてもらいたいことがあったんだ。」

「何〜〜〜ユヘルの聞きたいことだったら

答えられる限り答えるわよー!」

ユヘルに頼られてると思ったのか、気合い

十分をアピールするかの如くガッツポーズを

突き出している。

「この世界に呼ばれたのはいいけど

何かは知っておきたいから…魔法!

そうだ魔法あるでしょ‼︎ファンタジーと

言ったら魔法って言うじゃん‼︎こっちの常識を少しだけでも教えて‼︎」

これは最初から聞こうと思ってたことだ。

この世界に生きて行くために、何も知らずに生きていくのはいくらなんでもきつい。

こういうのは何も知らずに生きるのが普通だろう。だけどせっかくカルティナに下界までしてもらって来てもらったんだ。

こうは言っているが、ユヘルは単純に魔法が使いだけだった。病室の一人だけの時間。

わかりやすいファンタジー映画や絵本などを見て憧れてたからだ。現実では出来ない事は

明確だが、ほぼ病室暮らしの少年が抱いた

夢を叶えるにはもってこいの機会だろう。

「あ〜…」

しかし、カルティナの反応はあまり良くないところだった。普通乗り気になるとこの短い間でわかったが、

乗り気ではない反応だった。

期待の眼差しを向けた先にいるカルティナは何故か

自身の頬をかきながらあからさまに目を背けている。

まるで何かを隠しているような素振りだ。

「はぁ…まさか貴方から先に切り出しちゃうのね…

私がゆっくり説明しようと思ったのに…」

「説明?魔法のでしょ?」

魔法の説明なのに何故ゆっくりする必要があるのか?

疑問に思ってすぐに返した返事だった。

カルティナは下を向きながら深いため息をついた。

伝えるのを躊躇っている。しかし意を決したのか

ゆっくり顔をあげる。

「わかったわ。隠してもしょうがないわね。

今から言うことをちゃんと現実として受け取ってね。

嘘じゃなくてちゃんとした現実だから。」

「う…うん、わかった。ちゃんと受け止めるよ」

今から言うことがどれほど重要か、修羅場の緊張感を

何度も目の当たりにして来たからカルティナの今から

言うことは大事な事だとすぐにわかった。

そしてカルティナは口を開けた。

「単刀直入に言うとね。ユヘル。あなた…

魔法……使えないわよ。一生ね」

「………本当?」

「本当。ちゃんと訳あるからね‼︎それ今から話すから‼︎

だからってちょっと‼︎起きてェェェェ‼︎元気出してェェェ‼︎さっきの私になってるから‼︎これにもちゃんと訳があるから‼︎起きて話聞いてェェェェェェェェェェ‼︎‼︎‼︎」

確認した後のカルティナの返答で事実だと突きつけられ横に倒れ込んだ。多分口から魂出てる。絶対。

そしてユヘルはうつ伏せになり、気持ちを吐き出す。

楽しみを奪われた赤ん坊のごとく泣き叫ぶ。

「嘘だァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ‼︎‼︎‼︎

楽しみにしてたのにィィィィィィィィィィィィィ‼︎‼︎」

この世界でまず楽しみにしていた映画や漫画で

たくさん出てくる魔法。それを使えない現実を

受け入れたくなかった。

「前世で十分遊べなかったのに‼︎楽しめてなかったのに‼︎こっちだったら楽しんでも良いじゃん‼︎‼︎

何で出来ないんだよ‼︎ふざけんなよ‼︎」

気持ちを吐き出しユヘルは地面を何度も叩く。

気持ちの整理がつかないからだ。怒った時こそ人間

何か物に当たりたくなる物だ。今のユヘルがそうだ。

ユヘルの理想は魔法を使い、この世界をファンタジーに生き、自由に生き、旅をする事だ。

その楽しみを抱えて前世を捨て、この異世界に来たのだ。魔法も旅の一環として楽しみにしていた。

だがその楽しみの一環が今『生きてる間使えない』

という事実を元女神であるカルティナに告げられた。

これは変えようのない事実だ。認めたくない気持ちの

一心だ。そんなユヘルをカルティナはそばで慰め続ける。『これにも訳がある』カルティナはそう言った。

その訳とは何なのか。今すぐにも聞きたいが今は

少年の叫びがユルサレア草原に響き渡る。

苦痛と別れを経験し、自由になった青年が

一つの自由を取り上げられた瞬間なのだから。



どうしても自分で添削とかをやっていくと時間かかってしまいます。゜(゜´Д`゜)゜。 時間かかりすぎてしまいすみません。今後も投稿ペース遅くなりそうです。面白ければぜひ評価ブックマークなどお願いします‼︎

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