神威大和VS日本芸能界の闇(3)
翌日の朝、「超大物演歌歌手」とも「芸能界の帝王」とも言われる男性歌手三木の事務所PCに、メールが入った。
差出人は、馴染みの熱海の興行会社。
三木の秘書は、メールを見て、ホクホク顔。
「先生、いつもの温泉ホテルのディナーショー興行です」
「また、たんまりと」
演歌歌手三木は、ソファに寝そべっている。
「面倒だなあ・・・一日一曲でどうだ?」
「ラストに浴衣姿で」
三木の秘書
「ああ、それで行きましょう」
「そのほうが最後まで聞く」
「若い衆と・・・」
「八村由紀も連れて行きますか?」
「あれも紅白常連で、何度も賞を取って」
三木は、大あくび。
「由紀かあ・・・」
「もう、ばあさんだよ」
「あの賞にしたって、紅白にしたって、俺とか親分のおかげだろ?」
「レコードなんてロクに売れてねえんだから」
三木の秘書は粘る。
「八村も行ったほうが、料金が上がって、儲けも」
「どうせ申告などしませんし」
「八村には、地元の若い男をあてがいます」
「先生には・・・アイドルで」
三木は、また大あくび。
「そうだな、親分には迷惑かけられない」
「地元の女には手をつけないことにする」
「下手すると、コンクリート詰めだ」
三木の秘書はプッと笑う。
「ああ、そんなことがありましたねえ」
「先生の身代わりで、何人もコンクリート詰めに」
「たまたま、そこらへんを歩いていた男を、つかまえて」
「地元の女も、一緒に」
「それが何度も」
「地元警察は、知ってか知らずか、捜査はなし、全て、今だ行方不明」
三木は、「まあ、万が一もあるからな」と言いながら、注射器を手に持っている。




