神威大和VS日本芸能界の闇(1)
森田愛奈が神威大和に質問。
「次の対象は、何でしょうか」
神威大和は、ジャケットからスマホを取り出す。
「こいつらだよ」
森田愛奈は首を傾げた。
「演歌歌手?大物・・・超大物も・・・」
根津二郎(鼠小僧次郎吉)の顔も厳しくなる。
「何か、匂いますよ、旦那」
「臭いなあ・・・目つきも変だ」
神威大和は目を閉じた。
「あちこち、絡んでいるかもしれない」
「次郎吉さん、探ってくれ」
「探り方は任せる」
根津二郎は「へい!お任せを!」と勢いよく、会議室を飛び出して行く。
その姿を見送った森田愛奈。
「次郎吉さんって言い方を嫌がったくせに、つい、反応するんですね」
神威大和は、プッと吹く。
「長年の習慣は変わらないさ、条件反射かな」
森田愛奈も少し笑ったけれど、真面目な顔に戻る。
「懸念されることとは?」
神威大和は、厳しい顔。
「ヤクザや、夜の世界との深い関係」
「麻薬等の常時使用」
「演歌歌手にはピラミッドみたいなものがあって」
「その中で、パワハラ、モラハラ、セクハラはやりたい放題」
「上の人に逆らうと、あるいは少し機嫌を損ねただけでも、時には生きていけないような恥辱や虐待」
「そのまま、顔も知らない男に暴行されて、コンクリート詰めもある」
「税金だって、まともに払っていないだろう」
「つつけば、いくらでも出て来る、日本社会の闇そのものに、つながっているから」
森田愛奈が震えていると、会議室のドアが開いた。
そして「あのお方」が入って来た。




