伝説の剣士VS現代の剣士(6)十兵衛の袈裟斬り
審判の「はじめ!」の声と同時に、「狂犬」が跳躍、上段から十兵衛に竹刀を降り下ろす。
十兵衛の動きは速い。
身体を半開きにして、軽く狂犬の竹刀をかわす。
佐々木小次郎
「馬鹿が・・・」
武蔵は、「終わったな」と一言。
次の瞬間だった。
「ブン!」と風を斬るような音。
そして、「狂犬」は道場に横たわり、意識が無い。
ただ、全身が痙攣、ピクピクと動いている。
佐々木小次郎
「かわして、肩口からスパンと、相手が弱過ぎる」
武蔵
「あんな隙だらけで、どこでも打てるさ」
十兵衛は、面白くなさそうな顔。
「本当の鍛錬をしていない、合戦場では死んでいる」
「手加減はした」
警視庁が呼んだ医師が、駆け寄って狂犬を診る。
「肩口の鎖骨から胸骨にかけて、骨折」
「すさまじい衝撃がかかって・・・」
神威大和は、公安庁長官や警察庁刑事局長、警視総監と、相談。
「鍛錬不足、気合不足のようです」
「今までの全員が棒振り踊り、道場剣術で、実戦では使えない」
公安庁長官、警察庁刑事局長、警視総監は、驚いて声も出ない。
とにかく、コテンパンに倒されてしまったのだから。
「それと・・・」
神威大和の目が光った。
「ここに集まった剣士たちに、別の意味で、よからぬ輩がいるようで」
公安庁長官、警察庁刑事局長、警視総監は、神威大和の言葉の意味が分からず、顔を見合わせている。




