伝説の剣士VS現代剣士(2)佐々木小次郎
佐々木小次郎の前に立ったのは、昨年度の剣道全国大会優勝の剣士。
しかし、その表情からして、緊張感がない。
見知らぬ素人剣士との試合としか思っていないようで、「大丈夫です、手加減しますから」と、声までかけて来る。
佐々木小次郎が黙っていると、またブツブツと言って来る。
「官邸の要望なので、忙しいけれど、お付き合いするだけなので」
佐々木小次郎は。ようやく口を開く。
「おい、お前は死にたいのか?」
そして、その声が、実に冷たく重い。
佐々木小次郎は続けた。
「そんな気持ちとすると、お前は戦場で真っ先に死ぬぞ、それでも剣士か?侍か?」
全国大会優勝の剣士の顔に、たちまち朱が走った。
「言っていいことと悪いことがあるぞ」
「じゃあ、手加減はしないぞ」
佐々木小次郎は、プッと吹いた。
「ああ、それでも、この俺に触れられるかどうか」
そんなやり取りを聞いていた武蔵と十兵衛が、ブツブツとつぶやく。
武蔵
「小次郎さん、あれ使うのかな」
十兵衛
「燕返しですか?ああ・・・でもなあ・・・」
武蔵
「まあ、死なない程度にして欲しいなあ」
十兵衛
「でも、小次郎さん、見抜いていますよね、あの剣士の力」
武蔵
「うん、酷いもんだ、棒振り踊りと・・・」
十兵衛
「それと、優勝も嘘かな・・・策を用いたってね」
神威大和は、森田愛奈に「担架の用意を」と指示している。




