サタンの断罪(1)
神威大和の口から、「サタンの断罪を行う」の言葉が発せられたと同じ時刻、病院長に異変が発生した。
まず、その顔全体に吹き出物、しかも赤黒く臭い。
酷く痒いらしく、病院長は搔きむしる。
すると、掻きむしった吹き出物から、赤黒い血がドロドロと流れ出る。
驚いた周囲が手当をしようと囲む。
しかし、全く寄りつけない。
とにかく臭くて息ができないので、とても近くに寄れない。
その吹き出物は顔だけではないらしい。
病院長は全身が痒いらしく、着ている服を全部脱ぐ。
やはり、全身が赤黒い吹き出物で覆われている。
病院長は、全身を掻きむしる。
そして病院長室の豪華な絨毯に、赤黒い血が流れ出る。
しかし、あまりの臭さ、汚らしさで、やはり誰も近寄れない。
とうとう、病院長は、床に転がり苦しみだした。
そして幻覚を見ているような表情で、わめき散らす。
「るせえ!」
「俺は貧乏人は嫌いだ、儲からない!」
「俺はトップを目指す、そこらの町医者じゃない!」
「次の都医師会の会長は俺だ!だから金も根回しも使った」
「こんなところで、くたばるわけにはいかない!」
「おい!親分!子分を集めろ!」
「何が警察だ!」
「国税?知るか!そんなもの!」
「まとめてつぶしちまえ!」
「うーーー!痒い!痛い!」
「何とかしろ!何故注射の一本打たねえ!」
わめき散らしていた病院長の表情が変わった。
「おい!何だ!お前ら!」
「交通事故の怪我人か?何で俺に迫って来る?俺が何かしたか?」
「え?ヤクザのトラック?うわ!止まれ!」
「うわーーーー!轢かれる!殺される!」
病院長は、幻覚の中、ついに失神してしまった。