問題発覚と、当事者 神威の怒り
病院に対する警察の捜査が行われた結果、問題の事実(鼠小僧次郎吉の探索通り)が次々に明らかになり、報道されている。
・ヤクザのトラックにはね飛ばされ、瀕死の重傷を負わされた少女の緊急搬送を断わった病院には、断るだけの正当な理由が何もなかったこと。
・東京都医師会でも顔役の病院長が、「貧乏人らしき患者は見ない、他の病院に回せ」と言ったと、看護師数人からの証言があったこと。
・病院長は東京都医師会のメンバー、都庁、都議会議員、都知事秘書にも、現金を配っていたこと、その原資は裕福な患者からの「付け届け」。
・裕福な患者からの「付け届け」は、暗黙の了解。
・手術の際に、最低100万、入院は日毎に5万、診察は3万、これは看護士が証言、もちろん税務上、未申告。
・病院設立時から地域ヤクザとの深い結託。
・医療事故の報告は、全くなされていない、することは無意味と院長が断言したとの、複数の看護師の証言。
・隠し金庫に、数億単位の現金、貴金属、税務上の未処理。
神威大和は、途中から見ていない。
しかし、辛そうな顔。
「根が深い」
「しかも犯罪行為をし続けた人に、何の反省も感じられない」
「ここまで事実が報道されても、知らぬ存ぜぬ?」
「病院も政治家も」
その辛そうな顔が、厳しく変化した。
「深く断罪しないと、死んでいった人」
「泣きながら苦しんでいった人が、報われない」
森田愛奈は、神威大和の表情に不安を感じた。
「何を考えています?」
神威大和は、厳しい顔のまま。
「人間の力では弱過ぎる」
「サタンの断罪を行う」
森田愛奈は、その厳しく恐ろしい顔に、身体の震えが止まらなくなってしまった。




