神威大和VS悪徳医師会&ヤクザ(4)
突然、交通事故に遭った少女が目の前から消えてしまった救急隊員は、首を傾げている。
「眩い光を感じたら、女の子もお母さんも消えていた」
「何があったのかな」
「救急車の周りにはいないよ」
慌てていた救急隊員に電話が入った。
総務省の森田愛奈からだった。
「その消えてしまった女の子と、お母さんについては心配しなくて構いません」
「まずは、運び込もうとしていた、病院について」
「都内の医師会でも、かなりな地位の医者と思うのですが」
救急隊員は、驚いた。
まさか、総務省から直に電話が入るとは思っていなかったから。
それでも、聞かれたことは、素直に答える。
「はい、まず患者の身元とかを、子供であれば親の職業を聞かれます」
「一流企業とか、官公庁勤めなら、OK」
「中小企業の場合は、受け入れません」
「しかし、今回の女の子の場合は、本当に緊急で、一番至近の病院だったので」
「それで粘って見たのですが・・・」
「何度お願いしても、受けませんとの返事で」
総務省森田愛奈は、質問を続けた。
「緊急搬送を依頼して、断られたケースを、なるべく早くまとめていただいて、報告していただきたい」
「大臣、官房長官、総理もお待ちになっております」
救急隊員は、少し戸惑う。
「都の上司には?」
森田愛奈は、厳しい声。
「現在、都の上司が汚職疑惑で、とんでもないことになっています」
「ですから、国に直接にお願いします」
森田愛奈と話をしていない、他の救急隊員が自分のスマホを見た。
「うわ・・・マジ?」
確かに「東京都医師会汚職疑惑、都救急車担当管理職も?」のニュースが表示されている。




