神威大和VS悪徳医師会&ヤクザ(2)
「いったい・・・あなた様は・・・そして・・・ここは?」
少女の母親が、神威大和を見た。
神威大和は、やさしい顔。
「信じて欲しい、決してあやしい者ではありません」
その母親に、森田愛奈が耳元で、神威大和の「身分」を告げる。
杉田玲奈も、母親に声をかけた。
「私も悪い男たちに追われて、飛び降り自殺をする寸前、神威さんに助けてもらったんです」
「いろいろ不思議はあるでしょうが、信じてください」
母親は驚いたような顔になるけれど、懸命にそれを静めて自己紹介。
「私は吉村恵美、この子は娘の春香と申します」
「本当に死んでしまうかと、そんな時に救っていただいて、何とお礼を申したらと」
神威大和は、まだ、やさしい笑顔。
「そこに相談事務所が見えると思います」
「具体的なことは、あの事務所で」
その神威大和の指示で、そのまま相談事務所にて、事情聴取が始まった。
尚、娘の春香の世話は、杉田玲奈が対応している。
神威大和
「交通事故で、救急車を呼んだ」
「しかし、なかなか搬送先が見つからないとのことでしたね」
母親恵美の顔が曇る。
「まずは、暴走気味のトラック」
「春香は、一旦停止もしないトラックにはね飛ばされました」
「この地域の親分さんの土建屋のトラックで、常に荒っぽい」
「それから、搬送先の大病院も親分さんの息がかかっていて」
神威大和の顔が厳しくなった。
「それで、警察は呼んだのですか?」
母恵美は首を横に振る。
「はい、呼びました、でもトラックに書いてあった土建屋の名前を言ったら」
「途端に忙しいから、病院の後にしてくれと」
そこまで話が進んだ時点で、相談事務所のドアが開いた。
杉田玲奈は驚いた。
ジャケット姿、ハンチング帽をかぶった「鼠小僧次郎吉」が入って来たのだから。




