小次郎、武蔵、十兵衛の希望 玲奈の涙
神威たちの一行が自由が丘の屋敷に戻ると、エルフが相談があると言う。
「神威様、明日の警視庁道場の件ですが」
神威大和は、エルフが中身を言う前に察した。
「小次郎さんと武蔵さんと十兵衛さんだろ?」
エルフは苦笑する。
「はい、是非見たい、できれば現代の剣士と立ち会いたいと」
「実は、今日の相撲部屋も神田明神様も行きたかったようで」
神威大和も苦笑する中、森田愛奈はさっそく警察庁本庁に連絡、好感触を得たようで笑顔。
「はい、全日本クラスの猛者を集めるということで、楽しみですね」
その森田愛奈に神威大和も満足していると、杉田玲奈が駆け寄って来た。
笑顔ではなく、心配そうな顔。
神威大和は、杉田玲奈の顔をじっと見て、ひと言。
「あの救急車のサイレン?」
杉田玲奈は、心配そうな顔のまま、頷く。
「はい、ご近所の人と思うのですが、なかなか発進しなくて」
「受け入れ先の病院が決まらないのでしょうか」
森田愛奈は、杉田玲奈に聞く。
「玲奈ちゃん、あくまでも他人のことでしょ?」
「救急隊員と受け入れ先の病院の仕事で、何も玲奈ちゃんが、そこまで心配そうな顔になる必要があるの?」
杉田玲奈は、口をキュッと結ぶ。
「それは他人ですが・・・」
何か、気になることがあるらしい。
神威大和は、杉田玲奈の目を見た。
「何でも言ってかまわないよ」
杉田玲奈の目から、涙があふれて来た。
「私の・・・一番大好きな、お祖母さんが・・・」
「あんな感じで、救急車が出発できなくて・・・そのまま・・・」
神威大和は、泣き出してしまった杉田玲奈を、しっかりと抱きかかえている。




