鼠小僧次郎吉の思い、雷電の欲求不満
森田愛奈は懸命にスマホを使って「鼠小僧次郎吉」を調べる。
「盗賊・・・もともとは、鳶職」
「寛政9年からだから・・・1797年から、 天保3年、1832年までねえ・・・」
「その期間、大名屋敷のみを狙って盗みに入って、貧しい人達にそれを施した」
「諸大名を中心に延べ100余軒の武家屋敷から計3000余両を盗み・・・」
「捕まって処刑されたけれど、後世に貧しい庶民からは義賊として伝説化」
「盗賊の技能も凄かったんだね、そうなると、確かに義賊かな」
「大佛二郎先生が小説にしたと、映画にもしたのかな」
「時々、テレビの時代劇に出ていたなあ」
神威大和は、「うん」と頷き、森田愛奈に。
「いわゆる不正蓄財に対する嗅覚が、すごい」
「大名も、不正蓄財が多かったのかな、出世とかお家のために」
「それで、庶民を犠牲にして、何の反省もない」
「鼠小僧次郎吉は、鳶職だから、そんな悪だくみを全部知っていて、許せなかった」
「今回の相撲部屋についても、彼も気に入らなかったんだと思うよ」
「いわゆる八百長相撲の、星の貸し借りにも使っていたのかもしれない」
「横綱が不自然に勝つ、負けるも、その不正蓄財が原資で原因」
「もしかすると相撲協会も興行を盛り上げるためとして、黙認していたのかもしれない」
「まあ、不正蓄財分については、彼の現世の時と同様に、特別に貧しい人への寄付にして欲しいな」
「単なる国庫没収では意味が無いな」
「そう、計らってくれないか、経済困窮者基金とかにしたらどうかな」
「億は軽く超えているだろうし」
神威大和と森田愛奈が、難しい話をしていると、雷電が口を開いた。
「神威さん、相撲だけでなくてさ」
「西洋拳闘と西洋相撲、柔術にも道場破りしたいな」
「どうかな、とにかく横綱が弱過ぎてさ」
「豆腐を投げているような感じだった、気持ちが悪い」
これには神威大和は苦笑い。
「わかった、何とかする」
森田愛奈も、プッと吹く。
「わかりました、警察庁本庁に、その猛者を呼びます、呼ばせます」
そして、早速タブレットをタップ、「連絡」を取り始めている。




