国税庁VS相撲部屋(2)鼠小僧次郎吉?
親方の陥落はあっけなかった。
腰ベルトから下げていた鍵について、国税庁は見逃さなかった。
そしてそれは、相撲部屋の床の下に、隠し金庫があり、その鍵だったのである。
その隠し金庫には、夥しい現金、宝石、金の延べ棒等が収納されていた。
「いや・・・タニマチから、一時預かってくれと・・・」
「収入とか、所得とは考えていなくて」
「預かったままで、いずれは返すので、税務申告など・・・全く」
親方は、冷や汗を流しながら国税庁職員に説明をするけれど、どうも旗色が悪い。
「いつからの保管です?」
「誰からです?」
「金額も含めて明細を作らないと」
「本当に保管です?手をつけた跡もありますよ、帯封が破れていますしね」
「その資金使途は何ですか?」
「必要経費?何の必要経費です?」
相撲部屋の中に、スポーツマスコミも含めて、一般紙まで入って来た時点で、神威大和の一行は、親方にも横綱にも何も言わず、姿を消した。
雷電
「俺は、相撲を教えれば、それで良し」
「町方の話は、知らん」
森田愛奈
「これから相撲界とタニマチ、もしかすると闇金融の関係も明らかになりますかね」
神威大和
「相撲博打ってあってね、時々、変な相撲があるだろ?横綱でも簡単に負けるとか」
「たいていは、闇金融が絡んでいる」
「でも、いずれにせよ、脱税調査で、そこから芋づる式に、様々出るだろう」
森田愛奈は、神威大和に質問。
「どうして鍵に気がついたんです?」
神威大和は「肌身離さずは、何かある」と言い終え、ニヤッと笑う。
「鼠小僧次郎吉がさ、内緒で教えてくれた」
その「鼠小僧次郎吉」で雷電はプッと吹き、森田愛奈はポカンとなってしまった。




