表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/154

雷電の道場破り(5)

「おい!お前ら!こんな田舎相撲に恥かかされてどうする!」

「誰か手本を見せてやれ!」

真っ赤になった親方が、力士たちを怒鳴りつける。


しかし、横綱はそっぽを向いているし、他の力士も顔を見合わせて、つつき合うだけで足が前に出ない。


その様子を見た雷電は、呆れ顔。

「それでも力士か、情けない」

「四股も満足に踏めない力士が、どうして相撲が取れる」

「ただの肥満体の集まりか?」

「ただ飯を大食らいして、昼寝して、相撲の真似事か?」

「江戸の相撲も、落ちぶれたものだ」


その雷電の言葉に挑発されたのか、ようやく若い力士が土俵に入って来た。

そして顔を真っ赤にして、四股を踏む。

しかし、「ペチ・・・ペチ・・・」「ペタン・・・ペタン」と、全く迫力がない。


見かねた雷電が向かい合って、四股を踏む。

「ズッシーン!」「ズッシーン!」雷電の四股は、またしても相撲部屋全体を揺らすほどの迫力。

若い力士は、いたたまれなくなり、土俵から外に出てしまう。


神威大和が雷電の顔を見た。

「てっぽうはするかい?」

雷電は、少し考えた。

「ああ、したいところだけど、こんな貧相な柱だと、折ってしまいそうでな」

「面倒だ、こんな腑抜けだらけの部屋はやめよう、看板を外して帰る」

「がっかりした、相撲部屋になっとらん、張子の虎ならぬ張り子の相撲取りばかりで意味が無い」


どうにも困った親方は、助けを求めるかのように、横綱を見た。

「おい!横綱、何とかしろ、看板外されるのは恥だ」


横綱は面倒そうな顔。

「その恥って、何ですか?」

「金儲けになるんですか?よくわからない」

「持って帰られたら、また作ればいいのでは?」

「俺らの四股がどうのこうのって、素人に何を言われようと、知りませんよ」

「それでも、ここで腹を立てて、相撲して怪我させてもいんですか?」


その横綱には、雷電が応えた。

「おい!そこの腑抜け、言葉で相撲取ってどうする」

「相撲取りは互いに裸一貫、土俵で語るもんだ、情けない」

「ほんと、親方も親方なら、横綱も輪をかけて腑抜けだ、江戸の大相撲も地に落ちた」


その「腑抜け」が相当気に障ったらしい、横綱の顔も赤くなっている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ