表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/154

雷電の道場破り(4)

「おおっ・・・・」

「この身体は・・・」

相撲部屋の中にいた力士たちや親方まで、雷電の褌一つの姿を見て、魅了されてしまった。

ぶよぶよとして、腹は出てはいない。

痩せているわけではな、適度に肉がつく。

しかし、見るからに筋肉質。


その雷電の顔は土俵の中に入り、全く別人のような厳しい。

その厳しい顔のまま、「四股とは・・・」とポツリ、まず右足を高くあげ、土俵に踏みおろす。


「ドシーン!」

その一発目の四股で、相撲部屋全体が揺れた。

神威大和は森田愛奈に声をかける。

「さっきの駆け出しとは、別物でしょう」

森田愛奈は、最初の四股で、震えている。

「はい・・・四股って怖いくらいです」と、ようやく言葉を返す。


雷電の四股は、続く。

恐ろしい程に力強く四股を踏み、相撲部屋全体を揺らし続ける。

しかし、雷電に、全く力んでいる様子はない。

踏みおろす足にしても、動きは実にやわらかい。


最初は雷電の身体に見とれていた親方や力士は、全く声が出せない。

雷電を相撲部屋に引き入れてしまった親方は、それを後悔し始めた。

「マジに、あいつのほうが四股が上手じゃねえか」

「信州の田舎相撲なんて言って、江戸の大相撲が逆に恥をかいちまった」

「不審野郎ということにして、追い返せばよかった」

「こんな場面を、タニマチの親分さんに見られたら、どやしつけられる」


四股を踏み続ける雷電の身体から、汗がしたたり落ちる。


森田愛奈は、その姿に見とれた。

「うわ・・・かっこいい・・・男の汗だなあ」

「頼れる男の力強さかな」


そんな状態の中、神威大和は親方に声をかけた。

「さあ、彼と同じ程度に、四股を踏める力士はいるかい?」

「いなかったら、看板をもらって帰るよ」

「さあ、どうする?」

この神威大和の言葉には、親方の表情が厳しく変わってしまった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ