雷電の道場破り(2)
森田愛奈の最初の疑問「相撲部屋は雷電を受け入れてくれるのか」は、全く杞憂に終わった。
まず、雷電が相撲部屋の前で、黒ベンツからおりて、その姿を見せるなり、周囲に人だかりができた。
「うわ・・・大きい・・・」
「2メートル以上?あの部屋のお相撲さんより大きい」
「腹は出ていない、格闘技の人?」
「顔は・・・少し怖いかも、長い顔だなあ・・・」
その騒ぎが聞こえたのか、相撲部屋から若い力士が顔を出した。
そして雷電を見るなり、薄ら笑い。
「何だ?お前?道場破りか?」
「やめとけ、相撲は素人では無理」
「身体が大きいだけだと、怪我するぞ」
雷電は、そんな若い力士に笑顔、その声も言い方もやさしい。
「いや、道場破りとか、そんな怖いことは考えていませんよ」
「ただね、健康法の一つとしてね、四股の踏み方を教えていただこうと思いましてね」
神威大和は、雷電と若い力士のやりとりを聞きながら、森田愛奈に目で合図。
森田愛奈はクスッと笑い、「はい、相撲マスコミと協会連中・・・それと警察と文部科学省ですね」と、早速タブレットを操作し、メールを送っている。
神威大和は、森田愛奈の反応に苦笑。
「森田さん、すごく反応がよくなりました」
森田愛奈は胸を張る。
「はい、弁財天様にお力をいただきまして、神威君の考えていることがストレートにわかるようになりました」
雷電と若い力士が話をしていると、親方らしき男も顔を出した。
「ああ、人も多くなっている」
「四股ぐらいは、構わん、教えてやれ」
「どうせ素人だろ?」
雷電はニヤリと笑い部屋の中に、その雷電に続いて神威大和と森田愛奈が入った。
部屋の周囲は、すでに300人くらいの人が集り、取り囲んでいる。




