食事の後も、不思議が続く。
神威大和は、森田愛奈と杉田玲奈の顔を見て、話を続けた。
「とりあえず、明日の朝食の後、私の相談事務所に」
「そこに従業員用の更衣室を作りました」
「事務所の制服は、エルフの妹ルイが準備済み」
「具体的な仕事内容は、その時点でお話します」
森田愛奈と杉田玲奈が頷くと、ルイが食事会場に入って来た。
「それでは、それぞれのお部屋に案内します」
ただ、不思議なことに、温泉旅館を出て歩く必要はなかった。
森田愛奈は食事会場を出た瞬間、事務所の2階の自分の部屋に入っているし、杉田玲奈も丸太小屋の自分の部屋にいるのだから。
さて、キョトンとなるばかりの森田愛奈は、スマホが光っていることに気がついた。
そしてスマホを見ると、神威大和からのメッセージ。
「今日の活動報告を森田愛奈さんのPCに送りました」
「日本政府に報告等お願いします」
「マジ?」と思って森田愛奈はPCを開けた。
そして驚いた。
「すごいや・・渋谷事件、自由が丘駅前事件、自由が丘ピアノ教室事件、上野ピアノコンクール事件・・・全ての関係者と経緯、犯罪事実が明らかに」
「しかも、端的、わかりやすい・・・明確な文」
「いったい、いつの間に?」
驚いたのは、森田愛奈だけではなかった。
杉田玲奈も、自分の部屋に入り、スマホに着信を確認。
弁財天からだった。
「私に合わせて踊りの練習をしなさい、練習動画を玲奈ちゃんのタブレットに送った」
「玲奈ちゃんは特に左足のステップが遅れるから、それ注意」
杉田玲奈は、顔が真っ赤。
「いつも言われていた・・・それ・・・」
「はい!練習します!」とタブレットの動画を見ると、何と弁財天がセーラー服で踊っている。
杉田玲奈は目が点、そして魅入られた。
「弁財天様・・・上手過ぎ、軽くて典雅で上品で可愛くて・・・マジにトップアイドル!」
玲奈は、弁財天の踊りに魅入られながら、懸命に練習を始めている。




