自由が丘屋敷に帰還 モーツァルトは一旦姿を消すと言う
森田愛奈が目覚めたのは自由が丘の屋敷に到着する少し前。
神威大和に身を任せていたので、実に恥ずかしい。
「あの・・・ごめんなさい・・・気持ちが良くて」
真っ赤な顔で、身体を起こす。
神威大和は、笑っている。
「寝顔が可愛い」
森田愛奈は、ますます恥ずかしい。
「寝顔だけ?」と、プチ反発。
屋敷敷地内に入り黒ベンツをおりると、玄関前には執事のエルフが立っている。
「皆様、お疲れ様でした」と玄関扉を開けられると、やはり異世界が広がっている。
森田愛奈は、不思議から確信に変わる。
「今までのことは夢でなかった・・・本当だった」
玄関扉が閉じられ、お花畑を歩いて行くと、杉田玲奈が駆け寄って来た。
「森田さん、上野のコンクール、マスコミとかニュースで大騒動です」
「献金でコンクールの順位を決めて来たこととか、突然登場して神がかった演奏をした若者とか、またその若者が所在不明で」
神威大和は、モーツァルトを見て笑顔。
「一旦、ザルツブルクに帰る?」
モーツァルトも笑う。
「いつでも来られるからね、神威君に言えば」
「それと、ルードヴィッヒが来たいって言うからさ、次は彼も連れて来る」
「年末の第九の指揮かな」
エルフがモーツァルトに確認。
「お食事は、どうなさいます?」
モーツァルトは一転、渋い顔。
「夜は、あの四角四面のバッハ先生とルードヴィッヒと食べることになっていてね」
神威大和はまた笑う。
「今度はバッハ先生も?」
モーツァルトは苦笑。
「ああ、面白そうだ、いろいろ連れて来るよ、ショパンもいいかな」
森田愛奈と杉田玲奈は、「また面白いことになる」と、互いにクールサインをかわしている。




