森田愛奈は、神威大和に身を任せる。
神威大和が、驚いてキョロキョロするばかりの森田愛奈に声をかけた。
「森田さん、今日はこれくらいにするよ、だから安心して」
森田愛奈は、肩の力が抜けて、ブツブツとつぶやく。
「はい、いろいろとあり過ぎて、頭と心の整理がついていなくて」
「まさか総務省入省2年目の私が、官邸首相執務室に」
「その後は渋谷で大がかりな売春組織と対決して大騒動に」
「自由が丘の家で玄関の先は異世界で」
「モーツァルトさんのザルツブルクに行ってココアを飲んで帰って来て」
「聖母マリア様にもお逢いして杉田玲奈さんが癒されて」
「すごい武人も4人も出て来て」
「いろんな部屋とか事務所まで出現して」
「私の部屋まであって、マジに驚いて」
「自由が丘駅前で苛められていた鈴木君を助けて、遠山の金さんが出て来て」
「傲慢ピアノ講師と恐喝ピアノコンクールを壊滅させて」
「他にもあるけれど・・・言い切れない」
神威大和が、森田愛奈の首を後ろから揉む。
「お疲れさん、びっくりさせ過ぎたかな」
「でも、救いたくてね、是正もしたくてさ」
森田愛奈は、「はぁ・・・」と応じながら、途端に眠くなる。
「なんか・・・神威君の指・・・いい感じ」
「首筋から、スッとした流れ?背中が軽くなった」
「足がポカポカ・・・眠くなった」
神威大和の声はやさしい。
「眠っていいよ」
「寄りかかりたかったら、それでも受け止める」
森田愛奈は我慢できなかった。
恥ずかしいと抵抗する気持ちはあったけれど、身体は導かれるように傾き、神威大和に抱きかかえられた。
森田愛奈は、ウトウトしながら思った。
「なんか、神威君って、すごい安心感」
「怖いくらいに怒ったり指摘したりすることもあるけれど・・・」
「今は・・・はぁ・・・この身を任せたい」
結局そのまま眠ってしまった。




