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モーツァルトVS現代日本音楽界の闇(10)

神威大和は、含み笑いをしながらステージ中央に。

そしてモーツァルトと握手の後、ホールの全聴衆に語り掛けた。

「さて、一般聴衆の皆様、本日の演奏者の中で、一番と思われる演奏者は誰でしょうか」

「今、私の隣に立つ彼か、それ以前に出場した演奏者の誰か」


すると立ちあがったままの一般聴衆からは、大歓声。

「今演奏した赤い革ジャンの人!」

「段違い!最高!」

「神様か、モーツァルトそのものが弾いているかと!」

「とにかく感動しました、今、ピアノの前にいる人です!」

そんな声と拍手ばかり。

一般聴衆は、モーツァルトが一番との評価になっているらしい。


神威大和は笑顔で、今度は、審査委員長に声をかけた。

「さて、審査委員長、彼の演奏はどうでしょうか?」


審査委員長は、苦々しい顔を変えない。

「おい!何だ!君たちは!突然演奏を始めて!勝手が過ぎる!」

「誰の了解を得てステージにあがった!」

その審査委員長の所に、森田愛奈がすかさず歩み寄って、何かを告げる。


すると審査委員長の表情が変わる。

「何?スポンサーの緊急推薦?それは聞いていない・・・」

「官邸?文部科学省からも要請があった?」


しかし、審査委員長は、まだ苦々しい顔。

「ああ、確かに演奏は素晴らしかった」

「でもな、その衣装が神聖なコンクールに似合わない、下劣極まる」

「だから、その衣装でまずは失格、官邸とか文部科学省がどうか、スポンサーがどうかも関係ない」

「いいか?音楽は神聖なものなんだ!それを愚弄するような衣装でモーツァルトを弾くなんて!論外、下劣の極みだ、最低点だ!」

と、真っ赤な顔で怒り続ける。


神威大和は、その怒り顔が面白いのか、途中までは笑顔で黙って聞いていたけれど、少しずつ厳しい顔に変りだしている。

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