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モーツァルトVS現代日本音楽界の闇(8)

神威大和の一行は、ピアノコンクール会場のロビーに入った。

ロビーには、コンクールに出場する演奏者の関係者たちが多くいる。

一様に緊張しているようで、ソワソワしている。


神威大和がチケット売り場に進むと、チケットは簡単に手に入った。

森田愛奈が「満席のはずなのに」と首を傾げると、神威大和が含み笑い。

「ああ、自由が丘の北島ピアノ講師が来られないとの情報が入っているらしくてね」

「彼が確保していたはずの座席が三つ空いた」


一行は、ロビーからホールに入り、ほぼ中央の席に座る。

モーツァルトはホール全体を見回して、興味深そうな顔。

「装飾は少ないけれど、いいホールだ、音響も良さそう」

神威大和は厳しい顔。

「さて、金で順位まで決まってしまった演奏者諸君、それを知っているかどうか」

「それと、そもそも、このホールの音響を活かせる演奏ができるだろうか」


そんな状態で、ピアノコンクールの本選が始まった。

まず、最初の奏者がステージ中央に出てきて、バッハを弾き始める。


神威大和は、最初の音で、大あくび。

「まあ、楽譜を音にしているだけだな」

「機械と一緒、それもピアノの周囲5メートル程度でしか響いていない」

森田愛奈が、神威大和をたしなめる。

「緊張しているのでは?コンクール本番ですし」

しかし、モーツァルトはガッカリ顔で、首を横に振る。

「あれじゃあ、バッハ先生は怒るよ」

「ピアノは確かに弾いている」

「しかし、一音一音に魂が何もない」

「魂のない音楽は、人の気持ちを引きつけない」


神威大和は、二人目の演奏者の時から、うつらうつら状態。

森田愛奈は、ハラハラと神威大和を見る。

「演奏者は真剣にやっているのに」

すると、神威大和が口を開いた。

「結果は金で決まっている、それまで寝る、全部の演奏が終わったら起こして」


森田愛奈がため息をついていると、隣のモーツァルトも、いつの間にか眠っている。


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