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渋谷事件(1)

官邸を出た神威大和と森田愛奈は、メトロなどを乗り継いで、住居とされた自由が丘に向かうことになった。

首相からは「政府が住居まで、送ります」との申し出があったけれど、神威大和は「渋谷で降りてみたい」「普通の交通機関で」との意思表示。

首相も、それ以上は言わなかったので、森田愛奈も従うしかなかった。


ただ、森田愛奈は気になった。

そもそも、現時点で正体不明の神威大和が、「何を考えて」渋谷で降りると言ったのか。

それも、最高権力者の首相の申し出を断ってまで。

そのため、丸の内線に乗りこんだ時点で、恐る恐る、聞いてみる。

「あの・・・神威様・・・一つ質問が」


神威大和は、森田愛奈の顔を見る。

「はい、ところで、まず僕は年下です」

「今後は、神威君とか、大和君にしてもらえますか?」

「確か、森田様のほうが、年上かと」


森田愛奈は、また押された。

少し笑った顔が、実に美形で可愛らしかったから。

それでも、ドギマギしながら、懸命に返す。

「はい、神威君でいいかな・・・あの・・・」

「渋谷で降りるって、どういうこと?」

「そのまま送ってもらって、自由が丘に行くほうが楽なのでは?」


すると神威大和の目が、キラリと輝いた。

「気になることがありまして」

「それも、人命に関わることと、その原因の難しさもある」

「どうしても、死なせるわけにはいかなくて」

その表情も、厳しくなっている。


森田愛奈は、その言葉、表情に、また押された。

それでも、神威大和に聞き返す。

「神威君、一体、何?」

「意味が・・・全くわからない」


神威大和は、答えず、地下鉄車両のドアを見る。

「もうすぐ、渋谷です」

「ホームに降りたら、歩道橋までダッシュします」

「ご覚悟を」


森田愛奈が「え?」と驚く中、神威大和はますます厳しい顔になっている。


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