自由が丘屋敷内の異世界に、神威大和の事務所が出現
期待がふくらむ森田愛奈に、エルフが声をかけた。
「森田様は、神威大和様の秘書のようなお仕事と承っております」
森田愛奈は、その通りなので、「はい、首相からもその指示で」と頷く。
エルフが、神威大和を見ると、神威大和は指をパチンと弾く。
すると、お花畑の中に、ベージュ色、二階建ての大き目な洋館が出現した。
神威大和は笑顔。
「あの洋館を、人間界のお悩み相談事務所に」
「一階部分を待合室と相談室に」
「二階部分は生活ができるように」
「もちろん、森田さんが住みたかったら、住んでも構わない」
森田愛奈がキョトンとしていると、神威大和は、その洋館に向かい歩き出す。
エルフが森田愛奈に声をかけた。
「森田様、施設のご確認をお願いいたします」
「それもお役目かと」
森田愛奈は弾かれたように「あ!はい!」と神威大和に続いて歩く。
神威大和はベージュの洋館の前で立ち止まった。
「ここに看板、神威お悩み相談事務所」とつぶやくと、途端に白い大理石の大き目の看板が立ちあがる。
森田愛奈は、すでに驚かなくなっている自分に驚くけれど、それ以上に、このお洒落な洋館の中を見たくて仕方がない。
神威大和が森田愛奈の顔を見た。
「玄関のパネルに手をかざして」
「それだけで開く、いわゆる鍵はありません」
森田愛奈は、その指示通りに玄関のパネルに手をかざす。
そして建物の内部をのぞいて、大騒ぎ。
「え?アールデコ風?可愛い、きれい!マジに私の趣味!」
とにかく、とても国家公務員、総務省官僚とは思えないようなハイテンションになっている。




