表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/154

自由が丘駅前のいじめられ高校生事件(6)

神威大和が、その先生に声をかけた。

「先生は・・・奥田って名字だろ?」

「奥田」と言われた先生の肩がビクッと動き、剣道部員たちも驚いたような顔。


神威大和は続けた。

「奥田先生が、あくまでも飲まされて酔った勢いと言われても困るからさ」

奥田は、神威大和を見て、不安そうな顔。


神威大和は、ニヤッと笑う。

「とっておきの証人が来るよ、面白いことになる」

その言葉の直後だった。


剣道場のスクリーン、キャバレーの画面から、いかにも「極道風」の派手な衣装に身を包んだ男が歩いて来た。

そしてそのまま、奥田にフフンと笑い、声をかける。

「おや、奥田先生、どうして床にへたってるんで?」

「みっともねえなあ、シャンとしろって」

「いつもの威勢はどこにいっちまったんですかい?」

まさに江戸っ子遊び人そのものの言葉で、神威大和は笑っている。


奥田もハッとして、気がついたようだ。

「お前は・・・隣の席に座っていた・・・極道?あ・・・金さん?」

しかし、すぐに前言を翻す。

「いや・・・お前なんて知らん!俺がお前なんかの極道と知り合い?あるわけがない!俺は教育者だ!」


すると「知らない」と言われた極道風の男の顔が、途端に厳しく変わる。

そして、神威大和がクスッと笑うと、なぜか小次郎、武蔵、十兵衛、雷電が目を輝かせる。

聖母マリアがモーツァルトに何かを耳打ちすると、モーツァルトも興味津々の表情。

森田愛奈と杉田玲奈が、「もしかすると・・・あの人?」と、その顔を見合わせると、口上が始まった。


「奥田って踏み倒し野郎がいるってんで、馴染みのあんちゃんに言われて張ってたんだよ」

「なあ、奥田さん、昨日だって仲良く飲んだんじゃねえか」

「それを何だ?俺を知らない?」


それでも、首を横に振る奥田に対して、口上の質も、声の大きさも変わる。


「・・・じゃかましいやい!」

「おうおう…随分とシラを切るじゃねえか」

「いいか?目ん玉かっぽじってようく見やがれ!」


「極道風」の男は、突然、諸肌脱いで、その肩を見せつけた。


「おう!この見事に咲いた遠山桜、忘れたとは言わせねえぜ!」


期せずして神威大和たちは、聖母マリアまで大喝采。


奥田は完全に落胆、口を震わせ声も出ない。

剣道部員たちは、ポカンと口を開け「東山の金さん」を見つめている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ