自由が丘駅前のいじめられ高校生事件(3)
「証拠だと?」
神威が厳しい顔でつぶやくと同時に、広い剣道場の一面の壁全体が、大きなスクリーンに変化した。
そして、その画面に剣道着の高校生たちが映し出される。
「おい!鈴木!さっさとジュース買って来いや!」
「あーーー喉がカラカラだ!お前のせいだ」
「俺は腹も減った、カップ麺も追加」
「寒いから肉まんにしてくれ」
しかし、鈴木は、抵抗を見せる。
「そんなお金持っていません!」
「毎日毎日・・・僕ばかりどうして?」
「親の金だって、何度も・・・」
すると、鈴木に「パシリ」を要求した少年たちが取り囲む。
「るせえなあ!それを何とかするのが、パシリの役目だろ?」
「いいか、田中主将の命令だぞ!守れよ!」
「それを守れない?田中主将を馬鹿にしてんのか?」
「ちょっとばかり剣道が強いからって、ざけんじゃねえ!」
「たまたま俺たちにマグレで勝って、代表に?」
「そんなの、勝ってしまって申し訳ございません、って土下座して辞退するのが、当たり前だろ?このガキが!」
「それとも、田中主将のご家族様を知らないとでも?それでも逆らう?」
それでも鈴木は抵抗を見せる。
「そんなこと言っても、お金ありません!」
「もう、この一月で、コンビニやらゲーセンで何万も、10万を軽く」
鈴木の言葉が出た直後だった。
「田中」と剣道着に縫い込んだ少年が、ヘラヘラと笑う。
「おい!お前ら、鈴木にこの部の決まりと、人間としての道徳を教えてやれ!これも大切な教育の一環、厳しくやれ」
「ああ、それから鈴木に竹刀を持たすな、下手な抵抗は認めるな」
「お前らが怪我したら、試合に困る」
その言葉と同時に、鈴木は無抵抗のまま、他の少年の竹刀や木刀の餌食になっている。




