モーツァルトが現代に復活?
「今いる時代は、約250年前のザルツブルグで、モーツァルトの生家の近くのカフェでココアを飲みながら、モーツァルト自身のフィガロの結婚の生演奏を聴いている」
「その前は、聖母マリアを見て、ユニコーンとエルフで」
「官邸の首相執務室でも恐れ多いのに、極道退治と売春組織の解明をして、とんでもない事実が明らかになって・・・」
「全て神威君が絡んでいて」
森田愛奈が呆然と神威大和を見ていると、「生モーツァルト」が演奏を終えて歩いて来た。
神威大和は、そのままモーツァルトと「かっこよかった」と握手。
森田愛奈には目配せ、三人でカフェを出る。
森田愛奈は、カフェの外で歩いている人を観察。
「まさに映画のアマデウスの世界、同じ服を着ている」
「馬車も・・・はぁ・・・路面は石畳か」
「大きな家はあまりない、あれが教会?モーツァルトも通ったのかな」
ただ、そんな観察も続けられない。
神威大和から声がかかった。
「森田さん、戻るよ、前の世界に」
「モーツァルトが飛行船に乗っちゃった」
「僕も、そう言えば、彼に頼みたいことも見つかった」
そのまま神威大和の手が伸びて来るので、森田愛奈は、その手を掴む。
次の瞬間だった。
あっと言う間に、森田愛奈は飛行船の中。
つい先ほどまで眺めていたザルツブルグの街並みが、はるか下界に見えている。
モーツァルトが神威大和に尋ねた。
「ところで神威君、僕に頼みたいことって何?」
神威大和は、ニヤッと笑う。
「センスのない自称音楽大家、音楽芸術家をぶっ飛ばして欲しい」
「うん、グウの音も出ないくらいに、コテンパンに」
その神威大和の頼みが面白いのか、モーツァルトの瞳はキラキラと輝いている。




