神威大和の断罪(4)
しばらくは震えるばかりだった、首謀者の大学教授の顔に、不敵な笑み。
「は・・・しょうもないことを言いくさりおって」
「ああ、腹が立ったから殺した」
「そのどこが悪いんや」
「この世は、所詮、闘争と生き残りが、出来るかどうかや」
「今まで無実や、誰にも見つかっとらん、死体も埋めて既に溶けとるやろ」
「すでに数十年も前のことや!」
「つまり、何の証拠もないってことや!」
「さあ、どうやって犯罪事実を立証する?」
「出来なかったら、単なる濡れ衣や!」
犯罪事実が立証できないと、開き直った首謀者の大学教授に、神威大和は冷ややかな顔。
「そうか?立証できないのか?」
そして「これでも?」と、意味ありげな言葉を放つ。
血まみれの女子大生と男子学生が、再び、首謀者の大学教授の瞼の裏に映った。
「痛かったよ・・・どうして?」
「これがお前の考える市民革命なのか?」
「虚をついて、人を殴り殺すことは正義なの?」
「幹部には、嘘の報告をして」
「みんなが捕縛される時には、勝手に逃げて」
「人殺しをして、逃げただけでは?」
首謀者の大学教授の耳に、何故か、殺したはずの女子大生と男子学生の声が、何度も響く。
何度も頭を掻きむしって、払おうとしても、響く。
次第に、首謀者の大学教授の顔が、また不安な様子を見せ始めた。
しかし、まだ懸命に、虚勢を張る。
「やかましい!こんな声なんか、まやかしや!」
「ああ!やかましい!」
「もう・・・こうなったら・・・最終兵器や!」
「それを放つぞ!ええんか?」
その「最終兵器発言」に人権派弁護士の面々の顔が、また変わった。
「いや・・・先生!何が有っても、あれだけはあかん!」
「京都皆殺しだけやない、わしらも含めて、日本人皆殺しや!」
しかし、首謀者の大学教授は、ついに開き直ったのか、不敵な笑いを浮かべている。




