神威大和の断罪(3)
神威大和の言葉によって目を閉ざされた、檻の中の面々の瞼の裏に映った風景は、山の中だった。
神威大和の声が、また聞こえて来た。
「ここが、どこなのか、わかるな」
檻の中の面々、とりわけ今回の事件の首謀者である大学教授の、冷や汗と震えが酷い。
「あの・・・浅間の・・・」
「俺は・・・知らん・・・そんなこと・・・」
しかし、檻の中の別の面々から、すぐに反発が入る。
「いや・・・あれは、若い頃の先生です・・・」
「総括・・・あの山荘のリンチの時は、いつも先頭に立って」
「喧嘩で死にそうになると、何時も逃げて」
「しまいには、機動隊が迫ると、山荘からも勝手に逃げて」
首謀者である大学教授は、懸命に首を横に振る。
「知らん・・・おれには責任はない!」
「当時の幹部に報告して、捕縛するだけや!」
「後は幹部の指示や!」
「逃げた?単なる危険回避や!今後のことを考えただけや!」
その反論も功を奏しない。
次におぞましい姿が映った。
首謀者である大学教授が、組織の女子学生に、愛を告白する場面。
しかし、女子学生が、「他に好きな人がいる、貴方の先輩の」と言った途端、首謀者である大学教授は、怒りにまかせて、女子学生を鉄パイプで殴り倒した。
それでもおさまらないので、女子学生の顔面から全身まで、殴り蹴り続ける。
物音に気付いて駆けつけた先輩も、鉄パイプで叩きのめした上に、組織幹部には「不純な思想を持っていたので、制裁を加えました」と報告している。
檻の中の別の面々から、怒り声。
「あんた、ケダモノや」
「自分がフラれた腹いせに、恋する女を襲って、相手まで?」
「しかも、幹部には、嘘の報告?」
神威大和は、震えが止まらない首謀者の大学教授を、厳しく見つめている。




