組織幹部を包む地獄図(1)
組織幹部たちの目に、まず映ったのは、赤黒い水に満ちた大きな池だった。
その池には、魚の腐ったような臭いがする泡がブクブクと浮かんでいる。
既に吐き気を催す組織幹部たちの耳に、池の底からだろうか、とにかく低く、恐ろしいな唸り声が響いて来た。
「邪なる者たち」
「他人の命と幸せを、私欲のために犠牲にする者たち」
「自らが愚かな存在であることを忘れ、倨傲であることを自覚しない」
その恐ろしい唸り声に、組織幹部たちは、ますます蒼ざめる。
「どこから・・・」
「誰だ・・・一体・・・」
「我々の崇高な計画を邪魔しようとするのか!」
「汚濁と利権にまみれた京都の壊滅と再生ではないか!」
「何故、非難されなければならないのか」
「それに、ここはどこだ!」
その池、赤黒い水の中から、巨大な龍の顔が浮かび上がった。
大きな口を開け、鋭い牙が見えている。
組織幹部たちは、またしても、震えあがった。
「あの牙の隙間に・・・」
「あれは、人の足?」
「いや・・・他にも腕も見える」
「げ・・・顔・・・目玉が、たれ下がって」
再び恐ろしいうなり声が聞こえて来た。
「人数を数えてみろ」
「減ってはいないか?」
驚いた組織幹部たちは、慌てて仲間の人数を確認。
そして。一斉に震えた。
「三人はいない・・・食われたのか?」
「いや・・・どうして?いつの間に・・・・」
震えあがる組織幹部たちの耳に、また恐ろしい大きな音、銅鑼の鳴る音が聞こえて来た。




