「市民団体組織幹部」の思想
さて、京都市内の各所に、爆弾を配置する役を担う「市民団体組織」の面々は、その配置作業が終わった途端、共通して違和感に包まれてしまうようだ。
そして、全員が、組織本部に戻り、幹部に報告するたびに、一様に不安を述べる。
「あれ以来、どうも肩ひじが重くて」
「それと、すぐに息が切れます」
「階段も数段のぼるたびに休憩しないと」
「身体全体に重しがのっているような」
しかし、組織幹部は、一様にそんな報告を受けても、笑うだけ。
「気のせいだ」
「重要な、今後の日本にとって重要な任務を果たした、それで気が抜けて疲れも出たに過ぎない」
「そんなことより、今後は京都市民や街々へのビラをまけ」
「全ての家、会社、役所、寺社、店、駅、とにかく全てだ」
市民団体組織面々の前に、そのビラが大量に積まれている。
「市民のための京都を取り戻そう!」
「京都市民、そして日本国民から搾り上げて来た、皇室関係、それにつながる寺社関係の、財産は全て没収」
「その財産は京都市民に、それから日本国民に」
組織の幹部は、ためらう市民団体組織の面々に、強弁を続ける。
「構うことはない」
「新しい社会をつくるためには、犠牲も必要だ」
「天皇家と、それを取り巻く連中を、完膚なきまでに焼き滅ぼす」
「あの利権と汚濁に浸りきった連中に、天誅を加えねばならない」
その話の途中で、組織本部の大画面モニターに、CGによる京都大火災の様子が映る。
京都御所をはじめとして、全ての寺社が爆発、炎上し、市民や観光客が逃げ惑う。
逃げ遅れて火に包まれた人々が、死ぬ様子。
中には、幼い子供、生まれたばかりの赤子も映る。
「この焼却があってこそ、新しい京都が誕生する」
組織幹部は、一様に笑みを浮かべている。




