名古屋駅周辺の不穏(3)
名古屋駅上空に、突然、真っ黒な雲が浮かんだ。
そして、ゴロゴロとした雷の音が鳴り始める。
しかし、下界の名古屋駅周辺の大騒乱は、おさまらない。
神威大和は、怒り顔のまま、手にした剣を天空に突き刺した。
その直後だった。
すさまじい、恐怖を感じさせる雷音が鳴り、光の刃がいがみ合う集団の、ちょうど真ん中に突き刺さった。
「革命市民団体」も「右翼団体」も、腰を抜かすほどの、すさまじい衝撃。
そして、この世のものとは思えないほどの、集中豪雨が名古屋駅周辺に降り始めた。
神威大和の声が、名古屋駅周辺に響き渡る。
「これでも、騒乱を続けるのか!」
「お前たちの、自分勝手な騒乱が、どれほど世の迷惑になっているか、何故考えない!」
「何故、他人の意見を認めないのか!」
「何故、自分たちだけが、正義で罪が無いと、言い切れるのか!」
雷の音と、集中豪雨は、騒乱を引き起こした集団が全員、その意欲を無くし、地面にへたり込むまで続いた。
森田愛奈は、予想外の展開に震えながら、つぶやいた。
「この雷と雨は、名古屋駅周辺だけ」
「少し離れた場所は、青空で雲もない」
少しして、雷の音と、雨は止んだ。
地面にへたりこんだ連中を、名古屋の警察だろうか、次々に逮捕、護送車に乗せている。
神威大和は厳しい顔のまま。
「京都に飛ぶ」
「急がねば」
「龍神の御力をいただく」
杉田玲奈は、祖母が心配なのか、必死に手を合わせている。




