VS京都焼却(6)
「いずれにせよ」
神威大和が会議室にいる全員の顔を見た。
「京都に出向くことにする」
そして森田愛奈に声をかけた。
「見晴らしのいい場所、例えばホテルの最上階を借り切って欲しい」
「できるだけ早く」
森田愛奈は、早速、手持ちのタブレットを使い、予約のための検索をはじめている。
地蔵が口を開いた。
「首謀者の職業は、大学教授」
「人権派弁護士としての活動も多い、死刑廃止活動の中心メンバー」
「また、昭和の大学紛争、反安保闘争、平成の集団的自衛権反対運動でも中心メンバー」
「当然、自衛隊と日米安保体制は違憲との立場」
「日本政府に対する反政府活動を好む」
「市民革命、暴力主義革命の理論的指導者」
「東京での大規模テロ計画にも関係していた、それが失敗したから、メンツを失い、その挽回の意味もある」
「その資金源は、隣国政府」
「敵の敵は味方、そのものです」
神威大和が続く。
「その人権派弁護士グループを手下として使い」
「さらに、学生を使って爆弾製作、京都市内焦土作戦を立てたのだろう」
「全く市民の平穏など、何も考えない」
「それでもって、どうして市民を代表して政府に対して訴訟を起こすとか」
「人権派を名乗れるのか意味がわからないが」
タブレットを操作していた森田愛奈が顔をあげた。
「神威君、予約が取れました」
「明後日からOKです」
「スイートルーム貸し切りになります」
「支払いは日本政府です」
神威大和は、満足そうに頷く。
そして、何故か「熱田に寄る」と、口にした。




